脱スクラップ&ビルドの提言

既存住宅の流通活性化及び住宅リフォーム拡大に、国がトコトン本気で取り組んでいるということを度々話してきました。

また、そのための市場環境整備、助成金制度の導入、長期優良住宅化リフォームの推進等、国は様々なカタチのアプローチをこの数年間で相当数実行してきており、ものすごいスピードで制度が変わり、また作られております。これらは、中古住宅の流通活性化に既に成功している欧米のモデルを参考にしていることが多聞にあります。

リフォーム産業新聞社の調べでは、ドイツ国土交通省のハンスディーターヘグナー氏によると、ドイツでも年間日本円にして1,700億円もの助成金を用意して、リフォームに積極的な投資を行っているといいます。

従来ドイツでは、日本と同じように新築の投資が多かったことを先日のコラムで紹介しましたが、1990年代を境に改修への投資が逆転したそうです。背景には高齢者の住み替えがあり、70年代に住宅を購入し、高齢となった住み手がいざ売り出そうとすると、リフォームされていない住宅だと高く売ることが出来ないということが判明・・・それ以降改修の意識が高まっていったのだそうです。

また同氏は、「日本の住宅寿命20年と聞くが、これは極めて不思議なこと。新築を買うときに多額のお金をかけるのに20年で壊してしまうというのは理解が出来ない」と述べています。そういえば数年前、米国のホームインスペクション(住宅診断)事情を聴くため、あるセミナーに参加したところ、講師であるアメリカ人インスペクター(住宅診断士)も同じように「日本人は何て贅沢なんだ?」と、呆れていたことを思い出しました。まさに、日本の常識は、世界の非常識ですね。

やはり、新築中心のスクラップ&ビルドではなく、「環境負荷を極力抑え、住宅をリフォームにより付加価値を与た上で次世代に継承していく」という政策には、サスティナビリティを感じます。
日本では、まだ尚十分に使える住宅をトレンドに会わないという理由だけで建て替えする方もおられますが、現在の住宅棟数が世帯数を大幅に超える「住宅余り」の時代では、むしろそれ自体がトレンドでない気がします・・・。

売却も視野に入た上で改修を行い、より住み易い環境に移り住むという発想自体、今までの日本人には馴染みがないのかもしれません。しかし、郊外の一戸建てを売却して、利便性の良い地域の中古マンションを購入する方も弊社のお客様の中にも相当数おられます。国の援助や制度が仕組み化していくことで、消費者にもそれが浸透していけば、国の目指す循環型社会の到来も近いのではないかと大いに期待しているところです。

松戸 明

 

追記
昔の大工は、自分が建てた家の梁上に、自分の名前の入ったカンナやノミをこっそり置いたそうです。改修に訪れた未来の大工に自分の腕を自慢したかったからだと言われていますが、とても浪漫を感じます。

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