テレビやネットの時事ネタを観ていると、どうも主体を外に委ねている人が多い気がしてなりません。上司が悪い、景気が悪い、政治が悪い・・しかし、本当にそうなのでしょうか?
自らの選択や行動が全ての結果を作っているのだとすれば、私は、言葉を変えるだけで物事の見え方が大きく変わると思っています。
上司が悪いのではなく→「上司に任せきりで、自分から環境を変えようとしなかった」
景気が悪いのではなく→「景気の波を読んで打つ手を備えなかった」
政治が悪いのではなく→「政治に左右されない工夫をしなかった」
このように置き換えることで、原因を自分の内に見出し、次の行動に結びつけることが出来ると思うのです。
孫子の兵法には「勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦い、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝ちを求む」とあります。勝つ軍は戦う前に勝利を決め、負ける軍は戦ってから勝利を探す・・つまり勝敗は天命ではなく、事前の準備と将の判断にあると説いています。
また、ランチェスター戦略では、強者が有利な正面戦を避け、弱者は局地で一点突破を図る・・戦う場所を選ぶのは環境ではなく自分自身であり、成果は相手や運に委ねられるものではなく、自らの選択によって導かれるのです。「勝てなかった」のではなく「勝てる戦を選ばなかった」という視点こそ、戦略を主体的に考える出発点だと思っています。
さて、私は、「自分が源」であるという姿勢が大切だと、ある研修で教わりました。
お客様に選ばれなかったなら、選ばせる努力を怠ったのは自分。社員が成長しなかったなら、成長させる環境を与えられなかったのは自分。協力業者が動かなかったなら、動かす仕組みを作れなかったのは自分。全てを自分に引き受けることで、初めて改善と成長の道が拓けるのだと・・
私は、自分にハッパをかける意味でも、この思考に立ち返ることで迷いから抜け出し、次の一歩を踏み出す力を得ています。外に原因を探せば、心は軽くなるかもしれません。しかし、それは同時に自分の手から未来を手放すことのような気がして怖いのです。
「全ては自分の意志と行動に帰結する」
そう考えることで、たとえ小さな一歩でも、自ら未来を切り拓く覚悟が生まれるから不思議です。
代表取締役 松戸 明