テレワーク対応リフォームで使える補助金制度について(2021年度)

本稿では、テレワーク対応リフォームで使える補助金制度の概要について解説します。住宅全体のリフォームをご検討中の方や在宅ワークが増えた方は、ぜひ最後までご覧ください。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、以前より在宅勤務者が急増しました。とある調査によると、首都圏の在宅勤務者はコロナショック以前より3倍に増えたそうです。突然テレワークになった方も少なくないでしょう。

しかし、いざテレワークを始めてみると、集中できる環境が整っておらず、いろいろな問題に直面します。中には、リフォームしないと改善しそうにない方もおられるのではないでしょうか?

令和三年度から、テレワーク対応リフォームに利用できる補助制度が誕生しました。とは言え「テレワーク改修単体では使えない」などの注意点もあります。そこで、どうすれば補助が受けられるのか、ご紹介したいと思います。

在宅勤務用、テレワーク対応リフォームの補助金

それでは早速、テレワーク対応リフォームで使える補助金制度の概要をお伝えします。まずは、この制度がどんな方に向いているのか見ていきましょう。

テレワーク対応補助金制度がおすすめできる人

実は、この補助金制度はテレワーク改修単体では利用できません。補助を受けるには、後述する「住宅の性能向上リフォーム」が必須で、その一環としてテレワーク対応工事をおこなった場合のみ活用できるのです。

ですから、この補助金制度は「住宅全体の性能向上リフォームをご検討中の方」に向いています。テレワークスペースをつくるリフォームだけやりたい方には、向いていません。

尚、テレワークスペースだけ造りたい方はこちらの記事がお役に立ちます。

書斎・テレワークスペースが欲しい!リフォーム前に知っておきたいこと

国土交通省テレワーク対応リフォーム補助金制度の概要

それでは、テレワーク対応リフォームの補助金制度が導入された背景や制度の概要からご説明していきましょう。

先述のとおり、リモート型の働き方への転換が進む中で、在宅勤務になった方が急増しています。ですが、これまでの住宅は「くつろぎ」に主眼を置いて造られてきたので、テレワークに向いているとは言えません。

テレワークに対応していない住宅で仕事をすると、たとえばこんな問題が出てきます。

・仕事しやすい環境が整っていない
・作業に集中できない
・オンライン会議や商談がやりにくい

このままではテレワークが普及せず、感染力が高い病気の流行に対応できません。働き方の多様化にも、応えられません。そこで国土交通省は、テレワークに適した住まいへのリフォームに対して、支援する方針を打ち出しました。

ただし、この制度は新設されたものではありません。既存の「長期優良住宅化リフォーム推進事業 (詳しくは後述)」の補助対象を拡充したものです。ですから、まずはその事業の利用要件を満たす必要があるのです。

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、その名のとおり、既存住宅の長期優良住宅化リフォームを後押しする事業です。よって、補助を受けるには、対象住宅の以下の性能を基準値以上にする必要があります。

・構造躯体等の劣化対策
・耐震性
・省エネルギー性

リフォーム工事が完了したあと、上述の3つの項目が基準値以上になる住宅は、テレワーク対応リフォームの工事費用も補助対象になります。ただし、上述の項目の性能向上に要した工事費用を限度とするルールがあります。

つまり、基準値以上にするための工事が不要の住宅は、テレワーク対応リフォームを行っても補助が出ない仕組みなのです。具体的に言うと、すでに長期優良住宅なみの性能がある住宅は、テレワークリフォームの補助は受けられない可能性が高いということですね。

ただしそのようなケースでは、上述の3つの性能向上工事に加えて、以下の性能向上工事の費用も限度額に加算できます。

・維持管理・更新の容易性
・高齢者等対策(共同住宅のみ)
・可変性(共同住宅のみ)

この6つの工事のいずれも実施しない場合は、この制度を活用してテレワーク対応リフォームを行うことができません。

尚、受け取れる補助金額は「リフォーム工事やホームインスペクション(住宅診断)などの費用の3分の1」です。上限金額は「1戸当たり原則100万円」です。ただし、一定の要件を満たすことで上限金額がアップします (詳しくは後述)。

テレワーク環境整備改修工事の要件

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金の対象となる「テレワーク対応リフォームの要件」をご紹介しましょう。この事業では、大別すると以下の2つのテレワーク対応リフォームが補助の対象となります。

1.テレワークスペース確保のための工事
2.テレワーク環境整備のための工事

それぞれ、具体的にどんな工事が該当するのか、ご紹介しましょう。まずは「テレワークスペース確保のための工事」からです。

・テレワークスペースを確保するための間取り変更(間仕切り壁や建具の移設・設置)
・室内の一角にテレワーク用の作り付けデスクや本棚等を設置(置き家具は対象外)
・テレワーク用にスペースを区切るための袖壁を設置

続いて「テレワーク環境整備のための工事」の具体例をご紹介します。

・テレワークスペースの既存のサッシに内窓を設置して二重窓とする
・テレワークスペースの既存のサッシを、規定性能以上の遮音サッシに取り替える
・テレワークスペースの壁や床、建具等の内装仕上げを遮音性のあるものへ交換する
・テレワーク環境整備のための配線(コンセント、プラグ、LAN等)工事

まとめると「テレワークスペース確保のために区切ったり、遮音したり、配線したりする工事費用が補助してもらえる」と考えていただくとよいでしょう。

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?

さて、テレワーク対応リフォーム補助金制度の元になる「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは、いったいどんな内容なのでしょうか。この事業の概要をご紹介しますので、制度の全体像を把握したい方は続けてご覧ください。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要

長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要は、国立研究開発法人建築研究所のホームページに載っています。引用してご紹介しましょう。

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、 既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援をおこなう事業です。

もし、あなたが買った住宅をあなたの孫の代まで住み続けられたら、一族にとってどれほど住居費の節約につながるでしょうか。あなたの子や孫の生活は、より豊かになるのではないでしょうか?

ですが、今までの日本の汎用住宅は、何世代にも渡って使えるほどの耐久性を持っていません。ですから、ひと世代ごとに家をつくっては壊し、家計や環境に大きな負荷をかける結果になっています。

この状況を改善するために促進されているのが、以下の施策です。

1.長期優良住宅施策 ⇒ 長持ちする家をつくる
2.リフォーム推進施策 ⇒ 適切なメンテナンスをおこなう
3.中古住宅(既存住宅)売買の活性化施策 ⇒ 既存の住宅を活用する

本稿でご紹介している長期優良住宅化リフォーム推進事業は、1と2の施策と言えます。これらの施策がうまくいけば、中古住宅の価値はもっと見直されるでしょう。そうなれば、今より高額で売却できる日が来るかもしれません。

余談ですが、国がホームインスペクション(住宅診断)を推進しているのは、中古住宅売買活性化の一環です。中古住宅の状態がわかりやすくなることで、買主が購入しやすくなります。

補助を受けるための要件

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

・リフォーム工事前にホームインスペクション(住宅診断)を実施すること
・リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たしていること
・規定の工事のうち、いずれかをおこなうこと
・住戸面積の要件を満たすこと
・居住環境の要件を満たすこと
・リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること

順番に、詳しく解説します。

リフォーム工事前にインスペクションを実施すること

この補助金制度を利用するには、工事前にホームインスペクション(住宅診断)を行い、住宅の劣化の程度を明らかにする必要があります。この「ホームインスペクション」は有資格者(既存住宅状況調査技術者)が実施したもののみ有効です。

ホームインスペクションの有資格者は、ご自分で探しても良いですが、リフォーム会社に紹介してもらうのが早いでしょう。リフォーム会社の建築士が、資格を持っているケースもあります。

ホームインスペクションでは、主に躯体構造(家の骨格)や防水にかかわる箇所を調査します。もしも不具合が見つかった場合は、以下のどちらかの対応が求められます。

1.対象となるリフォーム工事と同時に補修する
2.維持保全計画に対応方法と対応時期を明記して、後日補修する

ホームインスペクションについては、以下の記事でも解説しています。もっと詳しく知りたい方は、合わせてご覧ください。

ホームインスペクション(住宅診断)とは?

リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たしていること

この補助金制度を利用するには、先述のとおり、リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たす必要があります。改めて、確保が求められる性能項目を表でまとめておきましょう。

性能項目

概要

リフォーム後の性能

躯体構造等の劣化対策

柱や床などの腐朽・蟻害の抑制

必須

耐震性

大地震でも倒壊しないよう耐震性の確保

省エネルギー対策

窓や壁、床、天井などの断熱化、給湯器などの効率化

維持管理・更新の容易性

給排水管を点検・清掃・交換しやすくする

任意

高齢者等対策(共同住宅のみ)

バリアフリー化

可変性(共同住宅のみ)

将来の間取り変更等に対応しやすくする

引用:長期優良住宅化リフォーム推進事業パンフレット

各項目の達成すべき性能基準はそれぞれ詳細に決められていて、長期優良住宅の性能基準に準拠しています。尚、リフォーム前にその基準をクリアできている住宅は、上述の性能向上工事は「必須」ではありません。

※ただし、テレワーク対応リフォームの補助対象費用は、上述の性能向上工事の費用が限度となります。

規定の工事のうち、いずれかを行うこと

ここは少し混乱しやすいところですので、しっかりご説明しておきましょう。

実は、長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助の要件となる工事は4つあります。補助を受けるには、以下のうち1つをおこなう必要があります。

1.住宅の性能向上に役立つリフォーム工事
2.三世代同居対応リフォーム工事
3.子育て世帯むけリフォーム工事
4.防災性・レジリエンス性の向上改修工事

ここで思い出していただきたいのですが……この制度を利用するためには「リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たしている」必要がありました。

もしも未達ならば、まずはその性能基準までリフォームで向上せねばなりません。その際におこなう工事は、上述の「1. 住宅の性能向上に役立つリフォーム工事」に該当します。

一方、すでに性能基準を達成できている住宅であれば、2~4の工事だけでもかまわないということです。(ただしこの制度は、過去に長期優良住宅認定を取得している住宅は補助の対象外)

住戸面積の要件を満たすこと

住戸面積に関しては、2つの要件が設定されています。

1つめは「少なくともひとつの階の床面積(階段部分を除く)が店舗、車庫等を除いて40㎡以上」あること。ただし、階段の下を収納やトイレにしている場合は、階段面積の30%まで床面積に算入できます。

2つめは、床面積の合計が「戸建て住宅は55㎡以上、共同住宅等は40㎡以上」あること。1つめと2つめ、両方満たす必要があります。

居住環境の要件を満たすこと

建築関連法規には、環境に配慮するための様々な法規や協定があります。たとえばお住まいの地域が以下の区域内にある場合は、これらの内容と調和が図られていないと補助が受けられません。

・地区計画区域
・景観計画区域
・条例による町なみ等の計画区域
・建築協定区域
・景観協定区域

お住まいの地域について「景観に厳しい」と感じられているなら、上述の区域に指定されていないか、ご自宅が法規や協定に違反していないか確認しておきましょう。

参考まで、弊社がある神奈川県川崎市の景観関連情報へリンクしておきます。

参考:川崎市景観計画
参考:建築協定制度について

リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助を受けるには、住宅履歴を残す必要があります。住宅履歴とは、リフォーム工事の内容を図面や工事写真等にして蓄積・保存した情報のことです。

さらに、住宅履歴の保存期間中(30年以上)は、少なくとも10年ごとに点検を実施する「維持保全計画」を作成する必要があります。

住宅履歴については、こちらでも解説しています。もっと詳しく知りたい方は、合わせてご覧ください。

住宅履歴情報(いえかるて)とは?住宅経歴の蓄積・管理システム活用法

補助対象の費用と補助金額

長期優良住宅化リフォーム推進事業では、以下の費用が補助対象になります。

・住宅の性能向上に役立つリフォームの工事費用
・三世代同居対応リフォームの工事費用
・子育て世帯むけリフォームの工事費用
・防災性・レジリエンス性の向上改修工事費
・ホームインスペクションの費用
・ホームインスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事
・リフォーム履歴作成費用
・維持保全計画作成費用
・リフォーム瑕疵保険の保険料

補助金額の上限は、上述の補助対象にかかった費用合計の3分の1です。補助限度額は以下のとおりです。

条件

補助限度額

長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められる場合

100万円/戸(150万円/戸)

長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合

200万円/戸(250万円/戸)

長期優良住宅(増改築)認定を受け、さらに省エネルギー性能を高めた場合

250万円/戸(300万円/戸)

尚、以下のいずれかの条件を満たすと、上述の表の( )内の補助金額が上限になります。

・三世代同居対応改修工事
・若者(令和3年4月1日時点で40歳未満の世帯)
・子育て世帯(令和3年4月1日時点または交付申請日時点で18歳未満の子がいる世帯)
・既存住宅購入者

補助金額の計算は、とても難解です。知識が豊富なリフォーム会社と一緒にすすめていただくと良いでしょう。

手続き方法(手続きの流れ)

長期優良住宅化リフォーム推進事業を利用して補助を受ける際、申込はこの事業に事業者登録されているリフォーム工事施工業者が行います。

つまり「リフォーム工事の施主(発注者)は、自ら補助申請ができない」ということです。ですから、この補助制度を利用したいのであれば、まずは事業者登録されたリフォーム会社を見つける必要があります。

この補助制度を利用する流れは、以下のとおりです。

  1. リフォーム工事業者が事業者登録
  2. インスペクション(住宅診断)
  3. リフォーム工事の請負契約の締結(工事発注)
  4. 対象住宅を登録
  5. 施工業者が国に補助金交付申請および交付決定
  6. リフォーム工事を実施
  7. 工事完了および完了実績報告
  8. 補助金額確定および国から施工業者に振込
  9. 施工業者から施主(工事発注者)へ還元

上述の4、5、7は受付期間がありますので、以下にご紹介しておきます。必ず期日までに申請してください。

申請内容

期日

対象住宅を登録

令和3年4月9日(金)~令和3年12月17日(金)

施工業者が国に補助金交付申請

令和3年5月10日(月)~令和3年12月24日(金)

工事完了および完了実績報告

令和3年6月14日(月)~令和4年2月18日(金)

補助金の還元方法は、2つあります。1つめは、お施主様に現金で給付される方法です。この方法は、以下の手順ですすんでいきます。

  1. 施主は、請負契約額の全額をリフォーム業者に支払う
  2. リフォーム業者が補助金受領
  3. リフォーム業者から発注者(お施主様)に補助金が支払われる

もうひとつは、お施主様がリフォーム業者に支払う工事代金と相殺する方法です。この方法は、以下の手順ですすみます。

  1. 発注者は、請負契約額から補助金相当分を除いた額を施工業者に支払う
  2. 補助金が施工業者に支払われる

以上が令和3年度の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の概要です。最新情報は、この事業の公式ホームページか、事業者登録しているリフォーム会社にお尋ねください。

参考:長期優良住宅化リフォーム推進事業

テレワーク対応リフォームで使える補助金制度まとめ

国土交通省が、テレワーク対応リフォームに使える補助制度を設けました。要件を満たすと、工事費用の3分の1の額(上限100万円/1戸)が補助されます。

ただし、この補助制度はテレワーク対応リフォーム単体では使えません。既存の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の対象を拡充して利用するため、この事業の要件に定められた工事と一緒におこなう必要があります。

テレワークス対応リフォームだけおこないたい方は、以下の記事をご参照ください。リフォームでテレワークスペースをつくり出す方法について解説しています。

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