耐震診断の方法(一般・精密診断法、1次・2次・3次診断法)と流れ

本稿では耐震診断の種類や流れ、木造住宅で実施できるセルフ耐震診断の方法をご紹介します。

じつは、世界のどこかで大規模地震が起こるたびに、耐震診断の記事の閲覧数が急増します。あなたも「うちも耐震診断とか、耐震補強をしたほうがいいのかな?」と心配になって、インターネットで調べたことがありませんか?

いざ耐震診断を検討し始めると、何をどんなふうに調査されるのか気になりますよね。「どんな方法で耐震診断するの?耐震診断の流れは?自分でできないの?」と、疑問が次々出てくるかもしれません。

本稿でその解説をしますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。

耐震診断の種類

まずは、耐震診断の種類を簡単にご紹介したいと思いますが、その前に、そもそも耐震診断とは何なのかご説明しておきましょう。

耐震診断とは?

 

「耐震」とは地震のエネルギーに耐えられる能力のことで、それを調査するのが耐震診断です。住宅では、耐震診断において以下の4つが重要な調査項目になります。

・建物の強さ
・建物の粘り(エネルギーを受け流す性能)
・建物の形状
・経年劣化の程度

耐震診断の目的は「建物が地震によって被害を受けるリスク」の高低を知ることです。とくに、旧耐震基準で建っている住宅の耐震化が課題になっていて、速やかな耐震診断と耐震改修の実施が求められています。

耐震基準については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

【耐震基準とは?】建築基準法の耐震基準の概要、新・旧の違い

木造と非木造の耐震診断の方法

耐震診断は、木造と非木造(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)で方法が違います。詳しくは後述しますが、ここでは簡単に種類だけご紹介しましょう。

まず木造住宅の耐震診断方法から。木造住宅には、以下の3つの診断方法があります。

耐震診断名

概要

誰でもできるわが家の耐震診断

家の持ち主がセルフチェックできる方法

一般診断法

専門家がおこなう非破壊による目視調査

精密診断法

専門家がおこなう破壊をともなう調査

 

つづいて、非木造住宅です。非木造住宅の耐震診断方法も3つあります。

耐震診断名

概要

1次診断法

簡易計算による方法

2次診断法

高度な計算による方法

3次診断法

2次診断より高度な計算による方法

上述の非木造の耐震診断の違いは、計算の難度だけではありません。駆体構造による向き不向きもありますので、適切な診断法を選ぶことが大切です。

木造の診断方法(誰でもできるわが家の耐震診断・一般診断法・精密診断法)

先ほどご紹介した耐震診断の方法について、まずは木造住宅の診断方法から詳しく解説していきましょう。

誰でもできるわが家の耐震診断とは?

「誰でもできるわが家の耐震診断」は、平屋または2階建ての一戸建て木造住宅にお住まいの方が自分で耐震診断できる方法です。「セルフ耐震診断」とか「DIY耐震診断」と考えていただくとわかりやすいでしょう。                                          

「誰でもできるわが家の耐震診断」を実施すると、専門家による診断に進むべきかどうかわかるだけでなく、以下の効果もあります。

・マイホームの耐震性が理解できる
・住宅のどの部分が耐震性と関係するのかわかる
・防災意識が向上する
・悪質な業者の耐震診断商法にだまされにくくなる

診断項目は問診形式で10問あり、評点の合計によって耐震性を判断します。問診内容は「一般財団法人 日本建築防災協会」のホームページで確認できますが、参考まで引用掲載しておきます。

・建てたのはいつ頃ですか?
・いままでに大きな災害に見舞われたことはありますか?
・増築について
・傷み具合や補修・改修について
・建物の平面はどのような形ですか?
・大きな吹き抜けがありますか?
・1階と2階の壁面が一致しますか?
・壁の配置はバランスがとれていますか?
・屋根葺材と壁の多さは?
・どのような基礎ですか?

マイホームのセルフ耐震診断にチャレンジしてみたいとお考えの方は、以下をご覧ください。「誰でもできるわが家の耐震診断」の詳細が載っています。

参考:PDF版
参考:Web版

一般診断法とは?

国土交通省の住宅局建築指導課が監修した「木造住宅の耐震診断と補強方法」では、専門家(建築士や建築関係者)が行う診断を2つにわけています。そのうちの簡易なほうが、一般診断法です。

一般診断の対象住宅は、以下にご紹介する1~3階建ての一戸建て木造住宅です。診断にはおおよそ2~3時間くらいかかります。

・伝統的工法

一般診断法は人間で言えば「健康診断」のようなもの。精密検査(精密診断法)に移るべきかどうか判定することが主な目的で、必ずしも治療(耐震改修)を前提としていません。

専門家による耐震診断では、調査に必要な情報が書かれた図面が要ります (図面がない場合は図面作成費用がかかる)。現地調査は専門家が目視でおこない、原則的に壁や天井をはがすような破壊検査はしません。

木造住宅の耐震診断では「Iw値(上部構造評価点)」を用いて耐震性を評価します。詳しくは後述しますが、この評点が高いほど耐震性も高く、1.0未満は倒壊の可能性があり、とりわけ0.7未満は精密診断法による調査を実施していただくほうがよいでしょう。

精密診断法とは?

一般診断法で「改修の必要性が高い」と判断された住宅は、ひきつづき精密診断法で調査します。この診断法で改修が必要かどうか最終的な判断をおこない、必要であれば耐震改修工事の計画と補強設計を実施します。

一般診断法は原則非破壊でしたが、精密診断法では必要に応じて壁や天井などを剥がし、内部の構造まで確認します。ですから調査後の補修が必要で、費用と時間がかかります。

診断には高度な知識と経験が必要で、建築士レベルの専門家が実施します。作業時間はおおむね半日から1日程度ですが、補修の程度によってはさらに1~2日かかるケースもあります。

耐震診断方法の注意点

木造住宅の耐震診断は、診断レベルが低いものから高いものへ、飛ばさず順を追って実施することが望ましいでしょう。飛ばすと、無駄な費用がかかるかもしれません。

たとえば「誰でもできるわが家の耐震診断 ⇒ (一般診断法を飛ばす) ⇒ 精密診断法」と進めたケース。結果的に「改修は必要ない」とわかった場合、壁や天井をめくったあとの補修費用が無駄になります。

「一般診断法 ⇒ (精密診断法を飛ばす) ⇒ 補強設計」と進めた場合はどうでしょうか。一般診断法だけでは補強設計に必要な情報がそろわないので、余裕をみて、必要以上の改修を行うことになります。

非木造の診断方法(1次診断法・2次診断法・3次診断法)

つづいて、非木造住宅の診断方法をご説明します。非木造の耐震診断は、1次診断法・2次診断法・3次診断法の3種類あります。順番に解説していきましょう。

1次診断法

1次診断法は、比較的簡易な計算で診断できる方法です。具体的には、各階の柱と壁の水平断面積とその階が支えている建物重量を使って計算します。

設計図面があれば、建物の詳細な調査をおこなわなくても計算できます。図面が無い場合は全ての寸法を計測する事になるので、時間と費用がかかります。

1次診断の結果だけでは、補強設計を的確に行うことはできません。耐震補強も検討されているなら、最初から2次診断を実施するほうがいいでしょう。

なお、柱や壁の断面積から耐震性を確認する1次診断法は、壁が多い建物に適しています。ラーメン構造等の壁が少ない建物は「強度の低い建物」と判定されてしまうので、1次診断法に不向きです。

2次診断法

2次診断法は、柱と壁のコンクリート強度や鉄筋量などから建物の耐力(強さ)と粘りを推定する診断方法です。主に柱や壁などの鉛直部材で耐震性が決まる建築物に適しています。

1時診断法より信頼性が高く、学校や庁舎などの公共建築物で最も利用されている診断方法です。耐震改修をおこなう場合は、二次診断の結果をもって耐震補強案(補強箇所や補強方法)を出します。

現地調査では、ひび割れやコンクリート爆裂の目視検査だけでなく、コンクリートをコア抜き(円柱状にくり抜く)して圧縮強度や中性化の試験もおこないます。

3次診断法

3次診断法は、2次診断よりさらに難度が高い計算をおこなう診断方法です。柱と壁に加えて梁(はり)も考慮して計算します。

主に架構構造(柱・梁構造)で耐震性が決まる建築物にむいていて、高層建築や鉄骨造が対象となります。

木造住宅のIw値、非木造住宅のIs値とは?

少し難しい専門的な内容になりますが、耐震診断で重要なキーワードなので「Iw値」と「Is値」について解説しておきます。

Iw値、Is値とは?

新耐震基準で建てられた住宅は、保有水平力や耐震等級が耐震性の判断材料に使えます。いっぽう旧耐震基準の建物は新耐震基準の建物と設計方法が違うので、これらの指標は使いづらい。そこで登場するのが木造の「Iw値」と非木造の「Is値」です。

「Iw値」と「Is値」は建物の耐力(強さ)・粘り・形状・経年等を考慮して算出した数値で、専門的には「構造耐震指標」と呼ばれます。どちらも数値が大きいほど、耐震性も高くなります。

木造住宅のIw値

Iw値は、木造住宅の一般診断法と精密診断法で利用する指標です。計算式は「Iw値=Pd(保有耐力) ÷ Qr(必要保有耐力)」で表します。聞き慣れない『耐力』がたくさん出てきたので、少し補足説明しておきましょう。

・耐力 ⇒ 地震に対する強さ
・保有耐力 ⇒ その住宅が持つ、地震に対する強さ
・必要保有耐力 ⇒ 地震で倒壊しないために必要な強さ

地震に対する安全性の目安は、以下のとおりです。

Iw

安全性の目安

0.7未満

地震の振動及び衝撃に対して倒壊・崩壊する危険性が高い

0.7以上1.0未満

地震の振動及び衝撃に対して倒壊・崩壊する危険性がある

1.0以上

地震の振動及び衝撃に対して倒壊・崩壊する危険性が低い

Iw値が1.0以上で「危険性が低い」ということは、つまり、保有耐力が必要保有耐力を超えていればOKということです。

非木造住宅のIs値

非木造の住宅で利用するIs値の計算方法は「Is値=EO(保有性能基本指標) × SD(形状指標) × T(経年指標)」で表します。こちらも、各項の補足説明をしておきましょう。

項目

説明

保有性能基本指標

基本耐震性能の指標で「EO=C(強度の指標) × F(粘り強さの指標)」で求める

形状指標

建物形状や耐震壁のバランスの指標、基準値は1でバランスが悪くなるにつれ数値は小さくなる

経年指標

建物の経年劣化の指標

地震に対する安全性の目安は、以下のとおりです。

Is

安全性の目安

0.3未満

大規模な地震の振動及び衝撃に対して倒壊・崩壊する危険性が高い

0.3以上0.6未満

大規模な地震の振動及び衝撃に対して倒壊・崩壊する危険性がある

0.6以上

大規模な地震の振動及び衝撃に対して倒壊・崩壊する危険性が低い

耐震診断の流れ

最後に、耐震診断の手順をご紹介します。耐震診断は、以下の流れで進んでいきます。

手順

概要

1、診断依頼

専門家(建築士など)に耐震診断を依頼

2、予備調査

診断に必要な情報や資料の収集

3、診断レベル決定

木造:一般診断法、精密診断法
非木造:1次診断法、2次診断法、3次診断法

4、現地調査

外観調査、内部調査、材料調査、図面照合など
構造図がない場合は、はつり調査

5、耐震診断計算

強度、粘り、形状、経年を評価

6、耐震性を評価

必要に応じて耐震補強案や概算工事費等を検討

なお、予備調査では以下の情報や書類を準備しておくとよいでしょう。

建築物の概要

書類

Ÿ   所在地
Ÿ   現在の用途
Ÿ   設計者、施工者、工事管理者
Ÿ   設計年、竣工年
Ÿ   延床面積、建築面積
Ÿ   階数、各階の高さ(階高)
Ÿ   構造種別
Ÿ   基礎形式
Ÿ   主な外装や内装

Ÿ   確認申請書類
Ÿ   検査済証
Ÿ   構造計算書
Ÿ   地盤調査報告書
Ÿ   設計図書(とくに構造図が重要)

耐震診断の方法まとめ

 

耐震診断は木造と非木造で方法がことなり、それぞれ調査のレベル(難度)が3段階あります。調査レベルが高くなるほど診断の信頼性が増しますが、木造はレベルを飛ばさず順番に実施することが大切です。非木造は、駆体構造も考慮して耐震診断法を選びましょう。

耐震診断はとても難解で、わかりづらいと思います。ご自宅の耐震性が気にはなっていても、不明点やご不安が多すぎて二の足を踏んでいる方もおられるでしょう。そんな方は本稿で予習したうえで、お近くのリフォーム会社にご相談ください。

弊社でも耐震診断のご相談を受け付けておりますので、川崎市の方はお気軽にご相談ください。

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