現代建築とは異なり、中古マンションは重厚感があり、長年その場にたたずんできた独特の風合いが楽しめるためファンが多いのですが、近年増えてきた、築年数の古い中古マンションに絞って「賃貸の部屋探し」が行われる理由として挙げられるのが、入居後に自由にリノベーションをしても構わないという物件が多いためです。
かつては入居者がオーナーや管理会社に対して直談判しリノベーションの許可を頂くという事例が多かったのですが、今日ではリノベーションを物件の魅力の一つとしている事例も多く、リノベーションしやすい構造にした上で入居希望者に対し貸し出していると様子がよく見られます。
リノベーションしやすい構造になっている上にリノベーションが前提になっていると言えばとても柔軟性に長けているように感じられますが、気をつけなければならないのは全ての場所が自分の好きなように出来るというわけではなく、あくまでも専用部分に限定されており、共有部分は例外であるということです。
専用部分というのはその名の通り自分達だけが専有する事が出来る空間のことを指し、玄関の扉をくぐった先の部屋の部分のことを指します。一方共有部分はエントランスやロビー、廊下といった他の住人も部屋への出入りをするために利用する空間のことを指します。
リノベーションが許可されているどのような物件であっても共有部分は手を付けてはならないと定められており、リノベーションが行えるのはドアから先の居住空間のみです。
ただし、認識の差異が起こりやすくトラブルのきっかけに繋がりやすいこととして挙げられるのが、共有部分と専用部分との線引きが曖昧になっている部分についてです。
具体例としては玄関ドアなどは室内から見れば専用部分ですが、廊下から見れば共有部分となるので室内からの見た目を意識して独自性が高いものに変更してしまうと、廊下の中で一枚だけドアが悪目立ちするので規約違反になってしまいます。
他にもベランダのリノベーションも同様のことが言えるので、マンションの規約事項によく目を通したりその都度質問するようにしましょう。