新居購入のひとつの方法として、中古住宅や中古マンションを買ってすぐにリノベーションするスタイルが注目されています。新築にはない個性的な住空間が作れるので、とくに若い方に人気です。
とは言え「中古物件購入+リノベーション」はとても複雑な手順を踏まなければならず、スタート地点に立ってみたものの途方に暮れる方がほとんどでしょう。
そこで本稿では、できるだけ簡潔にリノベーションの流れをご説明いたします。「中古物件購入+リノベーション」をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
リノベーションの流れ1、物件探し編(1週間~1か月)
最初のパートは「物件探し」です。すでに物件をお持ちの方は、このパートを飛ばし次へ進んでください。
物件探しは、スピード勝負です。とくに人気地域の一戸建てや人気のマンションは、もたもたしているとすぐライバルに買われてしまいます。
ですから物件だけでなく、迅速かつ適切なアドバイスやサポートをしてくれるパートナー(不動産屋やリフォーム会社)を、できるだけ早い段階で見つけることが大切です。
ステップ1、物件探し・パートナー探し
物件を探す方法は、いろいろあります。代表的なものをご紹介しましょう。
- 不動産ポータルサイトで探す
- 不動産屋に問い合わせる
- 住みたいエリアを歩く
中古物件を探すとき、まず不動産ポータルサイトを見る方が多いのではないでしょうか。「不動産ポータルサイト」とは、新築や中古の売り出し情報が載っているサイトのこと。たとえば以下のサイトが該当します。
お近くの不動産屋に行って売り出し中の物件を紹介してもらう方法や、売り出し中のノボリを探しながら住みたいエリアを歩く方法もあります。
物件を探しながら、信頼できる不動産屋やリフォーム会社も探しましょう。おすすめはワンストップ型の会社です。不動産仲介とリノベーション工事、両方まとめてご提案できるので、お客様には以下のメリットがあります。
- 窓口がひとつなので、お客様の負担が減る
- トータルコストの削減が期待できる
リノベーションは、お施主様(工事依頼者)にとって多大な手間がかかる事業です。不動産屋とリフォーム会社を連携させるのが難しく、物件選びの失敗から思わぬ出費が発生するケースもあります。
その点、ワンストップ型のリフォーム会社ならリノベーション前提で物件探しができるうえ、不動産屋とリフォーム会社を探す手間が半減します。
良さそうな物件を発見したら、不動産屋あるいはワンストップ型のリフォーム会社をとおして内見(内覧)の申し込みをします。
ステップ2、物件を内見(内覧)する
気になる物件の中を見せてもらうことを「内見(内覧)」と言います。内見のときに売主さんが立ち会うなら、気になることを質問してみましょう。
余裕があれば、大本命の物件以外にも何件か見てみるといいでしょう。一戸建てだけでなくマンションも見てみたり、他のエリアも探してみたりすると、思わぬ発見があるかもしれません。
近隣の環境を見ておくことも大切です。違う日にも通りかかってみると、内見のときとは違った印象を受けることがあります。曜日を変えたり時間を変えたりして、物件の近くを歩いてみてください。
ステップ3、住宅ローンの事前審査
リノベーションは、売主も買主も関係者も、契約まで多くの手間と労力を使います。住宅ローンの本審査で「審査NGでした」ではみんな困ってしまいます。そんな徒労を避けるためにおこなう事前審査が、住宅ローン仮審査です。
仮審査は、いくらくらいまで借りられそうか把握する目的もあります。ですから、借りる方の属性(お勤め先や年収など)が見られます。物件購入資金とリノベーション資金、両方借りる方は審査の際にプランと見積もりを添付する必要があります。
物件がすでにありリノベーションだけやる方は、住宅ローンが使えません。その場合は、リフォームローンを使いますが、やや金利が高くなります。
ステップ4、購入申込
仮審査が通ったら、購入申し込みをします。購入申し込みは「この物件を、この条件で買いたい」と売主に意思表示するためのもので、以下のことを書いた購入申込書(買付申込書)を渡します。
- 購入希望価格
- 引き渡し希望時期
- その他、修繕の要望など
値下げ交渉をしたい方は、売り出し価格より低い値段で購入希望価格を提示します。売主と買主お互い同意できる条件が整えば、不動産売買契約へと進んでいきます。
購入申し込みをする際、申込証拠金が必要な場合もあります。これは、購入意思が本気であることを示すために不動産会社に託す金銭のことで、10万円程度預けるのが一般的です。
申込証拠金は、契約不成立になったら本来は戻ってくるものですが、不動産屋が返さずトラブルになるケースもあります。解約時はどうなるのか、ちゃんと確認しておきましょう。
なお、購入申込書(買付申込書)には契約書のような法的拘束力がなく、キャンセル可能です。とは言え購入意思があるのが前提ですので、仮押さえのような使い方はよくありません。買うつもりで提出してください。
リノベーションの流れ2、設計編(1~3か月)
次のパートは「設計」ですが、住宅ローンの仮審査でプランや見積書が要る都合上、前パートと並行して進める必要があります。
このように、リノベーションでは最初から不動産屋とリフォーム会社を連携させる必要があるので、ワンストップ型の事業者を利用されるといいでしょう。
ステップ5、物件調査
購入したい物件が決まったら、購入申し込みや申込証拠金の預け入れをしたうえで、物件調査をさせてもらいます。物件調査は、いわば設計の準備作業です。
主な作業は採寸や写真撮影、設備の状況確認などです。マンションは管理規約の確認や管理人さんへのヒアリングもおこないます。
有料で耐震診断やホームインスペクション(住宅診断)サービスをおこなっているリフォーム会社もあります。より安心できる物件を買いたいとお考えの方は、利用されるとよいでしょう。
ステップ6、ヒアリング
物件調査が終わったら、いよいよ打ち合わせが始まります。最初はあなたの要望を聞いてもらう「ヒアリング」から始まります。
ヒアリングでは、たとえば以下のことを聞かれます。事前に家族会議をしていただき、返答内容をまとめておくとよいでしょう。
- 家族構成
- 生活スタイル
- 望む暮らし
- 希望の間取り
- 趣味
- ご予算
さらに、理想の住まいのイメージも伝えておきたいところです。とは言えイメージを伝えるのはとても難しく、伝える側と聞く側で思い違いも発生しやすいので、写真や絵などを使って齟齬を減らす工夫が必要です。
Instagram(インスタグラム)やPinterest(ピンタレスト)の写真、リフォーム雑誌の切り抜きなどを利用するといいでしょう。HouzzやRoomClip(ルームクリップ)といったWebサイトの写真も参考になります。
ヒアリングでは「リビングは20帖要る」のようなルールではなく、そこでどう過ごしていきたいのか「あなたの思い」を伝えるのがコツです。
ステップ7、プラン打ち合わせ
ヒアリングで伝えた内容が形となって提示されるのが「プランの打ち合わせ」です。住まいづくりの中で最も楽しい部分であり、お施主様にとってはとてもワクワクするステップです。物件が生まれ変わる最初の第一歩と言えます。
プランは、ヒアリングの内容や共有イメージをもとに作られます。間取りや採光計画、動線計画など、設計士の経験と工夫が盛り込まれますので、リフォーム会社の力量しだいで完成度が変わります。
なお、リノベーションは「住まいの刷新」を意味します。お施主様のライフスタイルに合わせて間取りから見直していくので、現況の内装や壁をすべて撤去する「スケルトン」リノベーションも珍しくありません。
ステップ8、見積もり打ち合わせ
見積もりの打ち合わせでは、プランを実現するために必要な概算予算がわかります。プランの打ち合わせで夢心地だったところ、いきなり現実的なお金の話が始まるので、夢から覚める気分になる方もおられるでしょう。ですが、とても大事なお打ち合わせです。
概算見積もりの段階では、往々にしてご予算をオーバーします。かなえたい夢がいっぱいあるのですから、当然です。あなただけではなく多くの方が「さて、どうしたものか」と悩まれます。
ここからは、優先順位付けが大切です。メリハリある予算の使い方をすることで、リノベーションのあとの暮らしの満足度が向上します。
たとえば「料理が好きだからコンロはこだわる。だけど、キッチン引き出しの面材は一番安いものでいい」など、あなたの住宅に対する価値観をもう一度見直す機会になるでしょう。
借入額を増やすという選択肢もありますが、かなり慎重に判断すべきでしょう。月々の返済額が家計の負担になるようでは、本末転倒です。予算を増やすより大事なのは、予算配分のバランス感覚です。
リフォーム会社に支払いのタイミングを確認しておくことも、お忘れなく。工事の規模や会社の方針で、支払い手順が変わります。銀行との連携が必要になるので、早めに理解しておきましょう。
ステップ9、設計契約
最初に提出するプランや概算見積もりまでは、無料でおこなうリフォーム会社が多いです。その先の詳細な設計は有料になり、設計契約を経て進んでいきます。ですから、この設計契約がほぼ「リフォームを依頼する会社決定」と同義になります。
詳細な設計は、以下の設計打ち合わせを行いながら進行します。
- 間取りプランの調整
- 内装仕上げ材の選定
- 住宅設備(キッチンや風呂など)の選定
- 照明計画
- 電気配線計画
内装仕上げ材や優宅設備は、サンプルやメーカーショールームで確認しながら決定していきます。ここもプランの打ち合わせくらい楽しいステップです。
なお、設計契約では概算見積もり額の3~5%程度を支払うケースが多く、工事請負契約を結んだ際は工事代金に充当されます。
リノベーションの流れ3、物件購入編(約1か月)
次のパートは「物件購入」ですが、ここも前パートと並行して進める必要があります。中古物件を購入してすぐにリノベーションをする場合は手順が非常に複雑ですので、しっかりパートナーにフォローしてもらいましょう。
ステップ10、不動産売買契約
不動産売買の直前に、不動産屋に所属する宅地建物取引主任者から「重要事項説明」が実施されます。文字どおり「これから購入する不動産の重要事項」が説明されるので、分からないことがなくなるまで質問しましょう。
売買契約では、物件代金の精算と同時に所有権を移転する約束が交わされます。一般的には売主側の不動産屋の店舗でおこなわれ、売主と売主側の不動産屋、買主と買主側の不動産屋が集合します。
売買契約の際は、物件金額の5~10%程度の手付金を支払います。手付金は最終的に売買代金に充当されますが、買主都合で売買契約を解除する場合は手付金の返還を放棄しなければなりません。
反対に売主都合で売買契約が解除される場合は、売主は受け取った手付金の倍額を買主に返還します。
ステップ11、住宅ローンの本審査
不動産売買契約が終わったら、売買契約書と後述するリフォーム会社の工事請負契約書を添えて、住宅ローンの本審査を申請します。
本審査では仮審査の内容をさらに厳格に審査するうえ、物件の担保価値や借りる方の健康状態もチェックされます。住宅ローンは「団体信用生命保険」の加入が条件となっていますので、健康状態がよくないと借りられません。
このタイミングで借入額や借入期間、金利タイプ(固定金利・変動金利)、返済方法(元利均等返済・元金均等返済)が決まります。
購入物件の火災保険の準備や、登記してもらう司法書士探しも始めましょう。
ステップ12、金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)
本審査でOKが出たら、金融機関と金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)を締結します。あとは、工事を経て引き渡しを待つだけです。
この時点では、まだお金が動きません。住宅ローンの返済も始まりません。
ステップ13、物件決済と引き渡し
不動産売買契約書に定めた「物件の引き渡し日」が来たら、銀行に売主・買主・不動産屋・司法書士が集まり、以下の作業を同時に進めます。
- 物件代金の清算
- 引き渡し(鍵や物件関連の書類を受け取る)
- 所有権移転登記
この日から物件はあなたのものになり、住宅ローンの返済がスタートします。
リノベーションの流れ4、工事編(2~3か月)
いよいよ大詰めです。先述のとおり工事請負契約書が住宅ローンの本審査の際に必要ですので、このパートも前パートと平行して進めます。
ステップ14、工事請負契約
主な設計打ち合わせが完了して工事代金がおおむね固まったら、リフォーム会社と「工事請負契約」を結びます。この契約は「御社に契約書に記載の工事を発注します」という意味ですから、以下のことに問題がないか確認してください。
- 設計図書(設計図面)
- 仕様書
- 工事代
- 工程
- お引き渡し日
- 約款(契約の取決め条項が書かれたもの)
工事請負契約も他の契約と同様に、すべて納得の上で契約することが大切です。不明点や疑問点があれば、遠慮なく聞きましょう。
ステップ15、リノベーション工事
いよいよ工事が始まりますが、着工前に近隣住民のお宅へ挨拶に行きます。リフォーム会社だけで回るより、お施主様もご同行されるほうが近隣住民に良い印象を与えるので、一緒に回ることをご検討ください。
ちゃんと挨拶回りをすると、あとあと近隣トラブルになりにくいです。マンションでは、管理組合長や管理人さんにも挨拶しておくほうがよいでしょう。
工事は解体工事から始まりますが、壁・床・天井をめくって初めて分かることもあります。新築時の図面と実際の状況が違ったり、シロアリ被害や配管の老朽化で修繕が必要になったり、リノベーションはなかなか計画どおりにいきません。
こんなときは現場の状況に合わせて工夫したり知恵を絞ったり、臨機応変にプランを調整していきます。ですから、リフォーム会社の対応力はもちろん、お施主様の協力が欠かせません。現場で臨時打ち合わせをすることもありますので、ご協力ください。
できあがっていく現場の様子を見るのは、ワクワクするものです。現場をのぞきに行きたくなることもあるでしょう。ですが、突然訪問するのはおすすめしません。
作業によっては、危険をともなう日があります。職人さんの腕が止まると困る日もあります。必ずリフォーム会社のお客様担当者に連絡して、了解を取ってから訪問していただくようお願い致します。
ステップ16、検査
リノベーションが完了したら、以下の3つの検査をおこないます。
- リフォーム会社の自主検査
- 住宅性能評価機関による第三者検査 ※リフォームかし保険を付ける場合
- お施主様検査
お施主様検査においては、問題がんないかしっかりチェックしてください。傷があったり、汚れていたり、図面と違う箇所があったりしたら、すべて修正してもらってから引き渡しを受けましょう。
テップ17、お引き渡し
検査後の修正まで完了したら、いよいよお引き渡しです。保証内容やアフターサービスの内容について、よく確認してください。
お引き渡しと引っ越しが終われば、いよいよ新居での生活がスタートします。ここまで本当にお疲れ様でした。メンテナンスしながら愛着をもって暮らしていただけたら、作り手も嬉しいです。
なお、住宅工事でも初期不良はあり得ます。住宅設備の不良はすぐにメーカーに対応してもらうべきであり、工事の不良は工事会社に修正してもらうべきです。
とは言え一般の方では気づかない不良もあるので、引き渡しから半年程度はときどき訪問してくれるリフォーム会社が安心です。リフォーム会社とのお付き合いは「引き渡しで終わり」ではありません。
リノベーションの手順まとめ
リノベーションの手順を、4パート17ステップで解説しました。ご覧いただくとわかるとおり、リノベーションの手順は1本道ではなく、それぞれのパートが複雑にからみ合います。一般の方が自力で段取りするのは、少し無理があります。
ですから、一緒に物件を探したりリノベーション計画を練ったり、フォローやアドバイスをくれる優秀なパートナーが欠かせません。ぜひ、計画の早い段階でパートナーをみつけてください。
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