先日、全国の空き家率が13.8%に達し、過去最高を更新したというニュースを目にしました。900万戸以上の住宅が使われずに残されている・・実は、地方だけの問題ではありません。私達の川崎市でも空き家率は平均で9.5%、麻生区や多摩区では、既に10%を超えています。
更に注目すべきは、現在住まわれている高齢者世帯の多くが、数年後には「空き家予備軍」になる可能性が高いということ・・そして、古い建築基準のまま残されている住宅には耐震性の課題も多く、大きな地震が発生した場合、建物倒壊や延焼といった二次被害を引き起こすリスクも抱えています。
この状況を前にして、これからも無制限に新築を建て続けて良いのか?
人口が減少し、住宅が余っている今こそ、既存住宅を「活かす」ことを基本とした戦略に転換することを急ぐべきです。
私は、空き家率が一定以上の地域では、新築住宅を段階的に制限する制度が必要だと考えています。同時に、既存住宅の性能向上や再販価値の評価、リフォームへの支援制度をより一層強化していけば、住宅の「資産デフレ」を止めると共に、自然災害への備えにも繋げていけると思っています。
「新築よりも再生住宅の方が合理的で価値がある」
この考えを社会全体に浸透させるには、国が戦略的に旗を振ることが不可欠であり、自治体は、地域の企業と連携し、空き家の再生を実行出来る仕組みづくりが必要です。リフォーム会社、不動産会社、建築士、職人、金融機関、そして市民・・地域のプレイヤーが一つに繋がれば、空き家は〝まちの負債〟から〝まちの資産〟へと生まれ変わるはずです。
私達マツドリフォームは、「サステナブル・デザイン」を旗印に、住宅の再生を通じて地域に価値を還元する企業でありたいと願っています。壊して建てるのではなく、直して活かす。過去を否定するのではなく、次の世代へと住まいを繋ぐ。家とは、そういう「物語の舞台」であるべきです。
「川崎市の空き家に、もう一度、灯りを灯す」
その使命に心が揺さぶられます。
代表取締役 松戸 明
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