日本は世界有数の地震国であり、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、そして2024年の能登半島地震を経て、「住宅の構造安全性を確認せずに建てる」という考え方そのものが見直されました。その象徴が、2025年4月からの建築基準法6条4号特例の縮小です。
私は、これを単なる規制強化ではなく、過去の震災で失われた多くの命への社会全体としての反省と決断だと受け止めています。※1
同時に、もう一つの大きなテーマがエネルギーです。
日本の家庭の年間光熱費は、総務省の家計調査などを元にすると、1世帯あたり平均で約28万〜35万円程度と言われています。※2
日本の住宅は断熱性能が低いものが多く、床面積1㎡あたりのエネルギー消費量は、ドイツの約3倍に達するという国際比較データもあります。※3
つまり、日本の家は「寒くて、暑くて、しかも光熱費が高い」という、住む人にとって最も厳しい構造を今も多く抱えているのです。
川崎市内に目を向けると、1980年代〜90年代に建てられた戸建て住宅が今も多く残っています。
こうした住宅では、現在の省エネ基準(断熱等性能等級4以上)に適合していないケースも少なくありません。
国の試算では、無断熱〜旧基準の住宅と、現在の省エネ基準住宅とでは、年間の冷暖房・給湯エネルギーにして約30〜40%の差が出るとされています。※出典:国土交通省「住宅の省エネ性能と一次エネルギー消費量の削減効果」資料より
これは金額に換算すると、条件にもよりますが、年間10万〜20万円程度の光熱費差になります。
断熱リフォームというと「費用が高い」というイメージを持たれがちですが、例えば200万円前後の断熱改修で年間20万円の光熱費削減が出来れば、単純計算で10年ほどで投資回収が見込めることになります。
国の補助制度を活用すれば、最大で200万円規模の補助が出るケースもあり、実質負担は更に軽くなります。※4
これは単なる節約というより、将来に渡る家計防衛と言えるのではないでしょうか?
私達マツドリフォームが考えるサステナブルデザインとは、「環境にやさしそうな家」を造ることではありません。
耐震で命を守り、断熱と省エネで家計と健康を守り、長く使える構造で地域の資産を未来に繋ぐ・・今だけ良ければ良い家ではなく、10年後、20年後、30年後も「この家に住んで良かった」と、実感出来る住まいを残すことが、本当の意味での持続可能性だと考えています。
川崎市では、まだ「サステナブル」とは言えない性能の住宅が多く残っています。だからこそ、リフォームやリノベーションの役割は、これから益々重要になるだろうし、社会的にも意義のあるスバラシイ仕事だと思っています。
川崎という街で、次の世代も安心して暮らし続けられる環境を残すために、マツドリフォームはこれからも「サステナブルデザイン」を正面から掲げ、目の前の物件1件1件に対し、何十年と続いていく暮らしまで見据えた提案と工事を積み重ねていきたいと思っています。
代表取締役 松戸 明
※1》国土交通省 建築基準法改正概要
※2》総務省 家計調査
※3》IEA住宅エネルギー比較
※4》子育てエコホーム支援事業
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