本稿では、リフォームでテレワークスペースをつくり出す方法について解説します。リフォームで使える助成金もご紹介しますので、これから在宅ワークが増えそうな方は参考にしてください。
2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、在宅ワーカーが急増しました。家にワークスペースがなく、とりあえずダイニングテーブルで作業し始めた方が多そうですね。テレワークをするにあたり、たくさんの問題に気づいた方もおられることでしょう。
在宅ワークが長期化すると、家族が気づかいに疲れて、関係がギクシャクすることもあります。できれば、仕事や作業専用のワークスペースがあったほうが便利ですよね。
「家庭円満ワークスペース」をつくるときのポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
コロナで在宅ワーク、テレワークスペースがない!どうつくる?
それではさっそく、ご自宅にワークスペースをつくる方法を4つご紹介します。「リフォームして、書斎をつくろうか」と検討されている方は、参考にしてください。
部屋の一角に机と椅子を置く
もっとも簡単にワークスペースをつくる方法は「空いているスペースに作業用の机と椅子を置く」です。椅子と机を買ってくるだけで、すぐにワークスペースが完成します。
この方法は、一次的な在宅ワーカーに適しています。コロナが収束したら、オフィス勤務に戻る可能性が高い方は、大がかりなリフォームをするより、簡単に元に戻せる方法がよいでしょう。
お部屋に馴染んだワークスペースをつくるには、家具選びのセンスが必要です。できればオーダーで机をつくって置き場所のサイズに合わせると、見た目にスッキリ。機能性も高くなります。
方法 | 部屋の一角に机と椅子を置く |
メリット | ・すぐに設置できて、コロナが収束したらすぐに撤収できる |
デメリット | ・部屋の雰囲気に馴染ませるには、机選びのセンスが必要 |
費用の目安 | 10~20万円(既製品の机と椅子、照明など) |
LDKの一角にテレワークブースをつくる
比較的カンタンなリフォームで済むのが、LDKの一角にテレワークブースをつくる方法です。この方法なら適度にLDK空間とつながれるので、育児や家事をしながらの作業に適しています。「机と椅子を置くだけ」より、ワクワク度もアップしますよ。
造りつけの机や棚、パーティション用の壁を造作してもよいでしょう。造作ならLDK空間と一体感が出るので、インテリア(内装)としても優秀です。
テレワークブース部分の床を上げたり、あるいは天井を下げたりするのも良いでしょう。LDK内の一部でありながら、ワーク専用スペースとして空間的なメリハリをつけられます。
方法 | LDKの一角にテレワークブースをつくる |
メリット | ・ワーク専用スペースとして空間的なメリハリをつけられる |
デメリット | ・LDKにいる家族の気配や音を感じるので、意識が散漫になる |
費用の目安 | 50~300万円 |
寝室や和室など、部屋の一部を区切る
つづいてご紹介するのが、部屋の一部を区切って個室や半個室にする方法です。作業に集中したい方には、この方法がおすすめです。
間仕切り壁をつくることになりますが、一部をガラス窓にすると「分断」された感じが和らぎます。間仕切り壁ではなく、建具(扉)で区切るのもよい方法です。区切ったり、大きな部屋にしたり、柔軟な部屋割りができます。
必要に応じて、棚や、間仕切り壁にドアをつけるとよいでしょう。「ドアは大げさ」と感じるなら、ロールスクリーンで代用する方法もあります。照明やコンセントを増設するのも、お忘れなく。
方法 | 部屋の一部を区切る |
メリット | ・一人で集中しやすい |
デメリット | ・区切られる部屋が狭くなる |
費用の目安 | 50~400万円 |
納戸や小屋裏(屋根裏)収納を書斎に改修する
一人でこもれる秘密基地のような書斎部屋をつくってしまうのも、おすすめです。コロナが収束してもテレワークがなくならない方は、思い切って作業専用部屋をつくってみてはいかがでしょうか。
書斎に改修するお部屋は、納戸がよいでしょう。納戸内の荷物を断捨離してみて、丸々空にできるなら、そこをワークスペースにリフォームできます。壁紙などの内装仕上げ材を張り替え、照明やコンセントを設置してみましょう。
小屋裏(屋根裏)収納があり、十分人がいられる広さと高さがあるなら、そこをワークスペースにすることも可能です。ただし、換気や断熱、冷暖房の配慮が必要ですので、工事費が高額になりやすい点は注意が必要です。
個室にはなりませんが、階段下がデッドスペースになっているなら、そこを改修する方法もあります。
方法 | 納戸や小屋裏収納を書斎にする |
メリット | ・個室にしやすい |
デメリット | ・リフォームコストがかかる |
費用の目安 | 100~500万円 |
リフォームでテレワークスペースをつくるときのポイント
つづいて、よくある「テレワークのトラブル」を確認してみましょう。何が問題になりやすいか知っておくと、リフォームしたあとに「しまった!」と思わなくて済みます。
トラブル事例をご紹介したあと、使い心地がよいテレワークスペースをつくるポイントをご紹介します。
テレワークでよくあるトラブル
コロナで突然在宅ワークに切り替わり、苦労されている方がたくさんいます。そんな方々から出る悩みやご不満は、おおむね次の3つに集約されます。
テレワークの悩みや不満 | 具体例 |
環境が整っていない | ・作業しやすい机や椅子がない |
集中できない | ・家族の気配が気になる |
オンライン会議や商談がやりにくい | ・背景が生活感ありすぎて、見せづらい |
曖昧な要望でリフォームをしてしまうと、いざ使い始めて不備に気づくことになります。上述のような問題を洗い出してから、リフォームの計画を練るとよいでしょう。
可能なら、しばらく現状のままでテレワークしてみてください。出てきた不満や悩みをじっくりリストアップしてからリフォームに臨むと、失敗を減らせます。急がば回れ、ですね。
使い心地がよいテレワークスペースにするためのポイント
上で「テレワークの悩みや不満」を3つ解説しました。これを防ぐには、どうすればいいのでしょうか?気をつけていただきたいポイントを、5つご紹介します。
書類や仕事道具はどのくらいあるのか確認する
まずは、常備する書類や仕事道具がどのくらいあるのか確認しましょう。
書類や仕事道具は、定位置や収納場所が必要か?造作棚は必要か?どの程度の大きさの作業机が必要か?このあたりは、見極めておきたいところです。
どの程度空間を密閉する必要があるか決める
ワークスペースは、どの程度密閉空間にする必要があるのか、検討しましょう。以下に3つのタイプをご紹介します。
・完全な個室(しっかり壁で区切られ、扉も付いた個室)
・半個室(ドアをつけない、パーティション壁は天井まであげない等、半開放型)
・オープンスペース(間仕切り壁をつくらない完全な開放型)
コンセントの増設を忘れずに
意外と足りなくなるのが、コンセントです。必要な数を使いやすい位置に準備しましょう。
パソコンを使うなら、マルチメディアコンセントがおすすめです。電気コンセントだけでなく、LANや電話のモジュラコンセントも付いているので、家屋内にむき出しの配線をはわせなくて済みます。
冷暖房用のコンセントが必要か、アースが必要か、確認しておきましょう。室内温度は作業効率と密接な関係があります。25度くらいが最適、という実験結果がありますので、参考にしてください。
適切な照明を設置する
ワークスペースで注意しておきたいのが「グレア (まぶしさ)」です。
光源(電球や蛍光灯、太陽など)が視界に直接入ると、まぶしくて不快に感じてしまいます。VDT作業(ディスプレイを見る作業)をされる方は、光源がディスプレイに映り込まないように気をつけましょう。
室内温度と同様に、以下も作業効率に影響します。人の感受性や作業内容によっても変わるので、調整できるようにしておくとよいでしょう。
・照度(明るさ)
・色温度(光の色)
・作業面照度と周辺照度の差
ワークスペースは、アンビエント照明(室内全体を照らす)とタスク照明 (作業する場所を照らす)、両方設置しておくと便利です。使用する電球で照度や色温度が自由に調整できるよう、配慮しておきましょう。
参考:タスク・アンビエント照明
実際に使っているシーンを想像する
リフォームのプランをつくってもらったら、図面を見ながら何度も実際に使っているシーンを想像してみましょう。この一種のロールプレイングは、あらゆるリフォームにおいてとても大切な行為です。
オンライン会議や商談の際、画面に映る背景が見苦しくないか、じゅうぶんな広さがあるか、検討してください。「机の奥行き+椅子の引きしろ+通路」はじゅうぶんな幅がありますか?机の手前の端から背面の壁まで1mは必要です。
書斎やテレワークスペースのリフォームで使える補助金・助成金
国土交通省が、令和3年度予算の概算要求に「テレワークに適した住まいへのリフォーム等に対する支援」の経費を計上しました。これは「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助対象を拡充するものです。
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅性能(耐震性や省エネ性など)の向上を支援する事業です。これにテレワーク環境の整備を加えよう、という計画です。
この計画では、テレワーク対応の間仕切り壁の設置や防音工事などをおこなう場合、リフォーム工事費などの費用の3分の1を補助してもらえます。ただし、限度額が1戸当たり原則100万円。インスペクション(住宅診断)の実施など、必須要件を満たす必要があります。
インスペクションについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
なお、静岡県は独自に「テレワーク対応リフォーム補助制度」を設けています。その他の自治体でも、テレワークスペースに限らず、リフォーム全般で使える補助金制度を設けている場合があります。
各自治体の補助金制度については、以下のサイトで検索していただくと効率よくみつけられます。
書斎・テレワークスペースのリフォーム実例
最後に、弊社のリフォーム実例を3つご紹介します。これからテレワークスペースをつくろうとされている方の参考になれば幸いです。
ロハススタイルなテレワークスペース空間
和室を洋室に改装し、ワークスペースもつくった例です。仕事中は集中できるテレワークスペースに、お休みの日は間仕切りを開放して子供たちのプレイスペースになります。
▼施工データ
地域:神奈川県川崎市高津区
築年:2006年
施工箇所:居室・トイレ
形態:マンションリフォーム
》詳細はこちら
テレワークスペースを設けた開放的空間
既存住宅(中古住宅)を購入され、新たな間取りにリフォームして新生活をスタートされた例です。在宅ワークと子育てが両立できるように、リビングとつながるテレワークスペースを設けました。デスクは、ご夫婦で使用されることを考え、2箇所に設置しています。
▼施工データ
地域:川崎市幸区
築年:2002年
施工箇所:全面
形態:マンションリフォーム
》詳細はこちら
床暖房のある暖かいリビング空間
ジャマに感じておられたリビングの「柱型」を利用して、オーダーメイドのデスクを造りつけた例です。床暖房もご採用いただいたので、一戸建て特有の足下から冷える寒さも解消できました。
▼施工データ
地域:川崎市幸区
形態:戸建リフォーム
施工箇所:LDK、洗面室、トイレ
工事費:約670万円
》詳細はこちら
他にも多数の実例を掲載しています。もっと見てみたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
【まとめ】テレワークスペース・書斎のリフォームについて
突然のコロナ禍で、テレワークスペースの需要が急増しました。それにともない、在宅ワークの悩みや不安が見えてきました。ご家族との気づかいに疲れた、という方も少なくないでしょう。
計画なしにリフォームでテレワークスペースをつくってしまうと、使い始めたときに「しまった!」と後悔することになりかねません。ここは性急に計画を進めず、じっくりとリフォームプランを練りたいものです。
お急ぎの方は、リフォーム実績が豊富な会社に相談してみましょう。知識や経験、数々のリフォーム事例を活用して、あなたに合ったプランを提案してくれるでしょう。
弊社でも、神奈川県川崎市を中心にテレワークスペースのリフォーム工事を承っております。在宅ワークをご検討中の方は、お気軽にご相談ください。あなたにあったプランを、一緒に考えてみませんか?
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