サスティナブルデザインの話

さて今回は、諸外国(欧米)の建物に対する考え方が、如何に「サスティナブル(持続可能)」か、ということをお話し出来ればと思います。

ご存知かもしれませんが、アメリカやイギリスでは築年数が古ければ古いほど住宅の価値が上がると言われています。(もちろんしっかりとリフォームが行われ、それ相応のメンテナンスが施されていることが条件ですが・・)一方日本では、新築した時が、一番価値が高く、入居した途端20%程度価値が下がってしまいます。

よく銀行が住宅ローンで20%の頭金が必要というのは、予め建物の資産価値の下落を予想しているからなのです。そして木造住宅の場合はほとんど20年で価値はゼロになってしまいます・・。これではいくら日本人がモノを大切にし、今や世界の共通語にもなった〝MOTTAINAI〟(もったいない)と思ったとしても、資産価値だけを基準にすれば、建て替えるか?朽ち果てるまで放っておくか??という二者択一で考えてしまうのも無理がないと思います・・。

しかし、例えばドイツでは、日本人と同じように、そもそも古いものを大切に使う習慣があり、また保存地区の存在から建物を簡単に建て替えずに、リフォームすることが多いのです。そして、日本と同様、マスハウジング時代(戦後復興、都市の肥大化に付随する郊外の発展期)に建設された住宅が陳腐化してきたことから、大々的なリノベーション工事が街のあちらこちらで行われています。ベルリンの建築指導課では、現在では建築許可を行政に受けにくる物件は、もう「新築」はなく、ほとんどが「改修」なのだそうです。

イギリスでも建物の景観保存のためビルの外壁一枚を残しながら取り壊し作業を行うなど(すごい技術だ!)、コストではなく、古いものに価値を見出す文化がしっかり根付いています。それは、ドイツやイギリスなどでは、「建物保存登録制度」が存在し、建て替えを個人判断だけでは実施出来ず、景観を考慮した上で改修をしなければいけないことや、建物の維持管理に一定の公的関与があるからだそうです。

こうした事情から、建物の社会性が位置づけされ、魅力的な建物は高く取引され、不動産の流通が大いに活性化する仕組みが出来上がっているという訳です。

現在、日本では国土交通省が中心となり、「既存住宅流通活性化等事業」と銘打って積極的に不動産、リフォームの内需を拡大しようとしています。スクラップ&ビルドから、ストック社会への転換を図り、現在の建物をより価値の高い財産とし、また流通させる仕組みを創ろうと、あれこれ試案を作成しています。近い将来、日本も欧米のように古くて魅力的な建物が増えることを願いつつ、私達も努力していかなければいけないと思う今日この頃です。

松戸 明

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