ホームインスペクション(住宅診断)のデメリットは?メリットは?

現在、中古住宅の流通を活性化しようと、国がいろいろな施策に取り組んでいます。そのひとつが、ホームインスペクション(住宅診断)です。とは言え、中古物件の売買において、ホームインスペクションが利用された割合はまだまだ低いのが現状です。おそらく認知度の低さやメリット・デメリットのわかりづらさが、その原因でしょう。

中古住宅を売買する場合、ホームインスペクションは売主にとっても買主にとっても有益です。メリットやデメリットを知っていただくと、きっと「私も使ってみたい」という方が増えるでしょう。

もしあなたもご検討中でしたら、本稿でホームインスペクションのメリットとデメリットを詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ホームインスペクション(住宅診断)とは?

ホームインスペクション(住宅診断)をご存じですか?あまり馴染みがない言葉ですよね。メリットとデメリットをご紹介する前に、簡単に概要だけ説明しておきましょう。

ホームインスペクションとは、対象の住宅について、ホームインスペクター(住宅診断士)が専門的な観点から以下の調査・報告をおこなう業務のことです。ホームインスペクターには、中立的な立場で調査することが求められます。

  • 住宅の老朽度合
  • 改修すべき箇所や時期
  • 施工不良や欠陥の有無

日本の住宅流通は、新築がメインです。近代の家は30年程度で激しく老朽化するものもあり、ひと世代ごとに「新築 ⇔ 解体」を繰り返しています。しかし、これはエコではありません。空き家も、あふれかえっています。

現在は、国や業界が中古住宅の流通を活性化しようと動いています。しかし、中古住宅は状態の良し悪しがわかりにくく、状況と価格が見合っていない、適正価格とは言えない物件も出回っています。

いっぽう、中古住宅の流通が活発なアメリカではホームインスペクションが広く普及していて、売買の円滑化に役立っています。

日本もこれにならい「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定し (2013年6月)、宅地建物取引業法を改正して不動産売買を仲介する不動産会社にインスペクションの説明を義務づけた (2018年4月)、というのがこれまでの流れです。

参考:既存住宅インスペクション・ガイドライン

ホームインスペクションの実施は売主や買主の自由ですが、やるべきでしょうか?やらなくていいのでしょうか?

インスペクションを実施すると、中古住宅の状態をちゃんと把握したうえで売買できます。これは、売主にとっても買主にとってもメリットです。

とくに買主は、欠陥住宅や非適正価格の物件を買うリスクが下がるのでとても有益でしょう。売主も瑕疵担保責任を追及されたり、あとから修繕に余計な費用を使ったりするリスクが下がります。

もう少し詳しく、メリットとデメリットについてご説明します。

ホームインスペクション(住宅診断)のメリットとデメリット

ホームインスペクションのメリットとデメリットを解説する前に、ぜひ知っておいていただきたい「瑕疵(かし)」という言葉について説明しておきます。

一般的な「瑕疵」の意味は「きず、欠点、あやまち」ですが、住宅においては「通常あるべき品質を欠いていること」を指します。たとえば新築住宅の床に大きな傷があったら、それは瑕疵です。

瑕疵は、見えないところに潜んでいることもあります。壁の中の断熱材や基礎コンクリートの中の配筋の施工不良は、長年住んでいる売主でも気づいていないでしょう。

ですから住宅の瑕疵を探す作業は、プロの知識や経験、調査技術で調べる必要があります。

ホームインスペクションのデメリット

まずは、ホームインスペクションのデメリットからご紹介します。ホームインスペクションの代表的なデメリットは、以下の3つです。

  • 検査に費用がかかる
  • すべての瑕疵を発見できるわけではない
  • 売主にとって気持ちのいいものではない

順番にご説明していきましょう。

検査に費用がかかる

ホームインスペクションを実施すると、検査費用がかかります。費用の相場は検査事業者や物件規模によって違いますが、おおよそ4~7万円くらい。マンションのほうがやや安く、一戸建ての床下や屋根、小屋裏(屋根裏)も調査すると6~12万円くらいかかります。

中には、条件を付けて実質無料で実施している事業者もあります。弊社も、自社サービスのご利用者様に関しては無料でご利用いただける仕組みを構築しています。「中古物件購入+リノベーション」をお考えの方は、以下をご覧ください。

マツドリフォーム「ホームインスペクションの流れ」

なお、ホームインスペクションで指摘された箇所の修繕は、必須ではありません。売主と買主の話し合いしだいで、その分値下げして売買することも可能です。

買主がフルリノベーションする予定なら、修繕してしまうと無駄になります。売主と買主が相談しながら進めるほうが合理的です。

すべての瑕疵を発見できるわけではない

始めのほうでご紹介した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」によると、インスペクションの調査範囲は以下のように書かれています。

  • 現場で足場等を組むことなく、歩行その他の通常の手段により移動できる範囲
  • 戸建住宅における小屋裏や床下については、小屋裏点検口や床下点検口から目視可能な範囲
  • 共同住宅においては、専有部分及び専用使用しているバルコニーから目視可能な範囲

中古物件の売買でおこなわれるインスペクションは、上述のとおり主に目視による非破壊検査です。住居の隅々までひとつ残らず調査するわけではありません。

断熱材や配筋などは目視できず、設備についても依頼者の意向がない限り検査しない業者もあります。つまり、不動産売買のトラブルを完全に防げるわけではありません。

売主にとって気持ちのいいものではない

買主からインスペクションを申し入れた場合、売主は「あら探しをされる」と感じるかもしれません。申し入れを断る売主がいたとしても、不思議ではないです。

インスペクションしないと物件が売れなくなるわけではないので、売主が「インスペクションなしで買ってくれる買主を探そう」と考えたとしても、それは自由です。

買主がどうしても「その物件が欲しい」と感じるなら、売主の希望を飲まざるを得ないでしょう。

ホームインスペクションのメリット

つづいて、ホームインスペクションのメリットをご紹介します。ホームインスペクションの代表的なメリットは、以下の3つです。

  • 安心して不動産売買できる
  • 売買後、トラブルになりにくい
  • 既存住宅瑕疵保険に加入できる

順番にご説明していきましょう。

安心して不動産売買できる

インスペクションを実施することで、物件の状態や価格の適性度が把握できます。これは買主にとって安心材料になり、売買がスムーズに進むでしょう。

スムーズに売買が成立することは、売主にとってもメリットです。実際、全国宅地建物取引業協会連合会がおこなったWebアンケート(2017年3月)によると、インスペクションの利用効果として以下の2つをあげる方が多くいます。

  • 自宅の売却が希望価格で売れた(3%)
  • 買手が早く見つかり売却がスムーズにできた(8%)

参考:土地・住宅に関する消費者アンケート調査

物件の劣化状況がわかると、買主は「購入後に必要なリフォームの予算」や「将来のメンテナンス計画」が立てやすくなります。これも売買の安心材料になります。

売買後、トラブルになりにくい

不動産売買が成立したあとトラブルになるのは、想定外の瑕疵が見つかり、買主が「損した!」と感じるからです。買主が債務不履行で売主の責任を追及しようとするのは、当然の流れです。

いっぽう、以下の流れで進めれば、あとから問題に発展する可能性は低いでしょう。

  • ホームインスペクションによって老朽箇所を洗い出す
  • 売主と買主が契約書や重要事項説明書等で劣化状況を承認し合う
  • 承認内容を折り込んだ価格で売買する

なお、これまでの民法の「瑕疵担保責任」は、2020年4月1日に施行された改正民法で「契約不適合責任」に変わりました。この改正によって、売主の責任範囲がひろがっています。

具体的には、契約書や重要事項説明書等に明示されていない瑕疵に関して原則「契約解除、追完、代金減額」の責任を負います。(従来は、買主が契約時点で気づけなかった瑕疵だけでした)

ですから、契約前にホームインスペクションで瑕疵がみつかることは、売主にとってデメリットではありません。契約内容と売買価格に折り込み、後の憂いを断つことができるのです。

既存住宅瑕疵保険に加入できる(検査事業者)

既存住宅売買瑕疵保険とは「構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分等に欠陥が発見された場合に、その補修費用をまかなうことができる」保険のことです。

参考:住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅売買のかし保険」

この保険に加入するには、建築士資格を持った検査員によるホームインスペクションが必須となっていて、検査した事業者が加入します。既存住宅売買瑕疵保険加入済みの物件は買主の安心が得られ、未加入の物件より高くスピーディーに売れやすくなるでしょう。弊社も加入しておりますので、詳細はお気軽にお問合せ下さい。

新築住宅のホームインスペクションもおすすめ

ホームインスペクションが有効なのは、中古物件だけではありません。新築でも活躍していますので、ご紹介しておきましょう。

新築住宅を診断するデメリット

まずは、新築住宅でホームインスペクションを実施するデメリットからご紹介します。

新築住宅はまだ経年劣化がありませんので、インスペクションをしても問題がみつからないケースが大半でしょう。それを「無駄だった」ととらえるか「安心料」ととらえるか。「無駄」ととらえるなら、浪費になるかもしれません。

それから、注文住宅の場合は「言い出しづらい」という問題もあります。注文住宅のインスペクションは契約後になります。施主(工事発注者)と建築会社の担当者との関係が深くなったあとですので、気をつかう方は言い出しにくいのです。

検査が終わり、問題がみつからなかったとしても、そのまま気まずい雰囲気が続かないとも限りません。ですが、それを補って余りあるメリットもありますので、ぜひインスペクションをご検討ください。

新築住宅を診断するメリット

最後に、新築住宅でホームインスペクションを実施するメリットをご紹介します。これはもう、なんと言っても施工不良を発見できることでしょう。

新築において「劣化」はないですが「施工不良」はあり得ます。大手が建てたからといって、安心できません。アパート建築大手の界壁性能不足や、注文住宅大手の防火性能不足は記憶に新しいところです。

これらの建築基準法違反は、建築中に必要な第三者機関の検査をパスしているにもかかわらず、完成後にみつかっているのです。発覚していないだけで、グレーな物件は他にもあると思われます。

施工不良は、建築会社にその気はなくても起こります。監理設計士や現場監督のチェックが行きとどかず、職人の施工不良や図面どおりにできていない箇所を見逃している現場は少なくありません。

可能であれば、完成後だけでなく建築中のホームインスペクションも実施しておきたいところです。たとえば以下の箇所は、仕上がってしまうとあとから目視で確認できません。

  • 基礎配筋のチェック
  • 構造躯体の金物チェック
  • 外壁の下地合板チェック

着工前に建築会社へ「ホームインスペクションを入れます」と伝えておけば、施工不良の抑止効果も期待できるでしょう。

ホームインスペクション(住宅診断)のメリットとデメリットまとめ

ホームインスペクションは、費用がかかることや完全に瑕疵や老朽箇所を発見できないことに注意が必要です。とは言え、国の後押しや中固住宅の流通が活発なアメリカで普及していることを見てもわかるとおり、今後の日本の住宅市場には欠かせないシステムでしょう。

ホームインスペクションを実施すると住宅の状態が把握できるので、買主様や新築のお施主様は積極的にご活用いただくとよいでしょう。適正価格での売買がスムーズに進み、あとでトラブルが発生するリスクも下がるので、売主様にもおすすめです。

弊社では、弊社の仲介や「中古物件購入+リノベーション」をご利用いただいたお客様を対象に、無料でホームインスペクションを実施するサービスを準備しております。ご興味ある方は、お気軽にご相談ください。

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