10月1日に日本を通り抜けた台風24号は各地に未曾有の被害をもたらしました。被害にあわれた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
川崎市内でも、あちこちで屋根や外壁が吹き飛ばされたり、飛散物による建物の破損が見受けられました。台風一過の朝、弊社の店頭にも畳半畳ほどのトタン板が落ちていました。
屋根や外壁が破損すると、雨漏りについての相談が増えます。
特に問題なのが、屋根・外壁を点検しても問題がないのに、雨漏りが発生しているケースです。このような場合には、建物構造・状況・これまでの雨もり改修のノウハウ経験などを踏まえて要因を推定します。雨もり要因が複数の場合もあるため、原因の可能性、費用対効果、建物の劣化度などを考慮したうえで、改修方法を提案、検討をすすめます。
雨漏りは、屋根・壁・柱・梁などを腐食させ、建物寿命を縮める原因になりますので、そのまま放置にしておくことはできません。
ところが、原因がはっきりしないために適切な改修工事ができずに、改修後も雨漏りが発生するケースもあります。リフォームの中でもすぐに改修工事の正解を見いだせない場合がある難しい領域です。
そのためマツドリフォームでは、建物の防水工事を行った場合、『瑕疵担保保険』に加入しています(お客様負担はありません)。防水工事に対する5年間の保証があるので、万一工事後に雨漏りがした場合でも、工事不備が原因であれば、無償で工事をやり直すことができます。
さらにその雨漏りの原因を調べるための費用も出ます。雨漏り工事の一番の問題点である雨漏り原因の究明に大変役に立つ保険です。
瑕疵担保保険のもう一つのメリットが、検査員による工事のチェック、指導です。第三者による工事のチェックにより工事の品質が担保されます。
■屋根のデザインと雨漏り
わが国の木造住宅の屋根は、台風による被害を最小限とするための知恵と工夫を重ねた構造となっています。
以下に日本の木造建物の屋根の特徴をご紹介しましょう。
- 無垢の板材または耐水合板を屋根全体に張り(野地板)、その上にアスファルトルーフィングなどの防水シートを敷き詰めた、室内に雨が吹きこまない構造。
②かつては屋根瓦は陶器が主流でしたが、近年は耐震性の問題もあり、より軽量なスレート瓦が主流となっています
③深い軒(外壁から屋根が突き出ている部分)。かつては、軒の出を、1.5尺(約45㎝)~2尺(約60㎝)とることが一般的で、この軒の出が、雨風から住宅を守ってきました。
■欧米デザインの住宅と日本の気候風土
ところが最近は、欧米スタイルの住宅が多くなってきています。私が対応したなかで、そのデザインが雨漏りの原因になっているケースがいくつかありました。
原因の一つが、近年急速に普及しているスレート瓦です。
軽量ですので耐震性は良いのですが、暴風雨などで吹き上げてくる雨に対して瓦の隙間に雨水が入りやすいため、勾配(傾斜)を急にして雨水を流し出します。
勾配の緩いスレート瓦屋根は要注意です。また、日射などによる劣化や苔の発生対策のため、定期的(一般的に約10年周期)な手入れが必要です。
もう一つの要因が軒の形状です。
欧米の住宅は、軒が極端に短かったり、中には軒を作らないケースもあります。
このようなデザインにする場合は、屋根や外壁を仕上げる前に、内部の防水処理を厳重に行う必要があります。しかし、その方法が軒の出がある建物と比較すると、かなり困難で手間の掛かる防水処理作業が必要になります。
建物の雨漏りの原因は、外装の劣化によるものだけでなく、建物を建てたときの工事の納め方によるものもあります。特に、最近の大型台風やゲリラ豪雨などの激しい風雨により、今までは雨漏りしていなかった建物でも雨漏りが発生している場合もありますので注意が必要です。