リバースモーゲージの利用条件と審査内容はどのようになっているのか? | 株式会社マツドリフォーム

リバースモーゲージの利用条件と審査内容はどのようになっているのか?

本稿では、リバースモーゲージの利用条件や審査内容をご紹介します。メリットやデメリットもご説明しますので、リバースモーゲージの利用をご検討中の方は最後までご覧ください。

老後の資金不足が社会問題化する中で「リバースモーゲージ」と言う言葉を聞くようになりました。住宅業界でも、ご高齢者がリフォーム資金の調達手段として活用した事例を見かけます。

そんなリバースモーゲージですが、いったいどのような利用条件なのでしょうか。安全に利用できるなら、選択肢のひとつとして持っておきたいところです。本稿で、あなたにとって有効な手段かどうか確認してみませんか?

リバースモーゲージの利用条件(要件) 

最初にお伝えしておかなければいけないのは、リバースモーゲージは資金調達の「ひとつの方法」であるということ。利用するかどうか、他の手段(売却やリースバックなど)も勘案して総合的に判断すべきです。

さて、リバースモーゲージの利用条件は、金融機関によって違いがあります。とくに以下の2つは異なる点が多いので、混同しない方が良いでしょう。

・リバースモーゲージ(東京スター銀行、横浜銀行など)
・リバースモーゲージ型住宅ローン(三菱UFJ銀行、横浜信用金庫など)

本稿では「リバースモーゲージ」の利用条件をメインに「リバースモーゲージ型住宅ローン」についても触れていきたいと思います。それではさっそく、審査対象からご紹介しましょう。

審査対象

最初は審査対象となる「国籍、年齢、年収、お住まい、担保評価額」についてご紹介します。

国籍

リバースモーゲージが利用できるのは「日本国籍の方と、永住許可を受けている外国人の方」としている金融機関が多数です。金融機関やローン商品による差は、ほとんどありません。

年齢

年齢は、そのローン商品の返済方法によって違いがあります。具体的には以下のとおりです。

・利払いあり型(毎月利息を支払う):契約時の年齢が低めで55歳や60歳から利用可能
・利払いなし型(毎月の支払いなし):契約時の年齢が高めで60歳や70歳から利用可能

契約者に配偶者がおられる場合は、配偶者にも同様の年齢制限を設けている金融機関が多数です。同居の子どもにも年齢制限を設けているケースもありますので、お子様と一緒に暮らしている方は商品概要をよく確認するようにしましょう。

尚、リバースモーゲージ型住宅ローン商品のほうが、やや契約時年齢が高めに設定されているようです。多くの商品が「60歳以上」で、「55歳以上」から利用できる商品はあまりありません。

年収

リバースモーゲージは、年金など長期安定的に見込める収入がある方を対象にしています。ただし、職や給与所得の有無は、特に問われません。

一方、リバースモーゲージ型住宅ローンは、融資上限額の計算に年収と返済比率(返済額が所得に占める割合)を使っているケースが多数です。この方法では、給与が高く、かつ他に借入がない方のほうが有利になります。

お住まいの形態や所在地、同居人

リバースモーゲージでは、お住まい中、またはこれから取得される住宅を担保とします。ですから、自己または配偶者名義の一戸建て、またはマンションを持っている方が融資対象となります。

ただし、金融機関によっては、マンションを対象外としているところも少なくありません。その理由は、リバースモーゲージが主に土地を担保とする商品で、マンションは土地が共同所有になるため担保にしづらいからです。

同じ理由から、お住まいの所在地も重要な条件になります。現在、ほとんどのリバースモーゲージ商品では、対象地域を首都圏や関西圏、地方の主要都市に限っています。

また、原則として「単身、またはご夫婦で居住中の住宅」に限る金融機関が多数です。ただし、有料老人ホームの入居等でお住まいにならない場合は「居住中」の条件を外してもらえるよう相談できます。

担保評価額

リバースモーゲージの中には、担保となる物件の評価額にも条件が設けられている商品があります。たとえば、シェアNo.1の東京スター銀行の場合は、以下のとおりです。

・利払いあり型 ⇒ 戸建て:1,000万円以上、マンション:2,000万円以上
・利払いなし型 ⇒ 戸建て:2,000万円以上、マンション:3,000万円以上

この基準は決して低いものではなく、リバースモーゲージが利用できるのは実質的に主要な大都市圏か地方の大敷地に限られます。

欧米なみに建物の価値が認められるようになれば、リバースモーゲージはもう少し使い勝手の良いものになるのではないかと思われます。今後に期待ですね。

その他

その他にも、よく利用条件に上がるものがありますので、ご紹介しておきましょう。

・ご契約時に判断能力をお持ちの方
・年金の受取口座をリバースモーゲージ利用口座に指定できる方
・ご融資期間中は火災保険にご加入いただける方

ご契約時に担保住宅の推定相続人の同意を求められるケースや、推定相続人代表者が同席のうえでカウンセリングを実施する金融機関もあります。

審査対象の説明は、以上です。

借入限度額(極度額)

つづいて、借入限度額について解説します。融資可能な額は、金融機関によって大きく違います。たとえば「300万円以上1億円以内 (東京スター銀行)」や「1億円以内 (横浜銀行)」「100万円以上8,000万円以下 (横浜信用金庫)」など様々です。

各金融機関は、上述の範囲内で契約者ごとに融資上限額を設定します。一般的なリバースモーゲージでは、この融資上限額に達するまで何度でも利用できます。

融資上限額は、金融機関の審査基準にて総合的に判断して決定されます。おおむね、担保不動産の一般的な評価額の50~70%に設定されるケースが多数で、評価額や融資上限額は少なくとも年に1度は見直されます。

返済方法

一般的なリバースモーゲージは終身利用でき、返済もご契約者様がお亡くなりになるか、契約が終了になるまで続きます。返済方法を「利払いあり型」と「利払いなし型」に分けてご紹介しましょう。

利払いあり型

毎月、利息部分を支払う。元本部分は、元本返済期日(契約者がお亡くなりになってから一定期間後)に一括返済する。元本の返済方法は、現金での返済、または担保不動産による代物弁済から選ぶ。

利払いなし型

毎月の利息返済は不要。元本部分は、元本返済期日(契約者がお亡くなりになってから一定期間後)に一括返済する。元本の返済方法は、現金での返済、または担保不動産による代物弁済から選ぶ。

なお商品によっては、契約者がお亡くなりになった際、配偶者が契約を引き継げるものもあります。契約を引き継ぐ場合は配偶者の審査がおこなわれますので、必ずしも継続利用できるとは限りません。

担保・保証人

リバースモーゲージでは、担保となる不動産に「金融機関を第一順位とする根抵当権」を設定する必要があります。「根抵当権」は抵当権の一種ですが、借入限度額の範囲で何度でもお金を借りたり返済したりできる性質を持っています。

保証人については「原則として、保証会社や第三者による保証は不要」としている金融機関が多数です。ただし、共有物件を担保にする場合は、物件共有者(主に配偶者)が連帯保証人になる必要があります。

なお、リバースモーゲージ型住宅ローンでは、住宅金融支援機構の「住宅融資保険」の加入が必須になっている商品もあります。

参考:住宅金融支援機構「住宅融資保険事業の概要」

利用手数料

リバースモーゲージを利用する際は、以下の費用がかかります。

・リバースモーゲージ利用手数料
・管理料(2年目以降)
・融資1回あたりの手数料
・繰上返済手数料

初回利用時に必要な「利用手数料」の金額は金融機関によって違います (税込11~16.5万円くらいに設定しているところが多数)。それ以外の管理料や融資手数料、繰上返済手数料の額も金融機関によって違いますが、こちらはゼロ円にしているところもあります。

出来るだけ手数料等が安い金融機関を選びたくなりますが、ローン商品選びで大切なのは金利です。支払う利息まで含めて、出来るだけコストが低いところを選ぶと良いでしょう。

なお、金融機関に支払うコスト意外に、契約時に登記や印紙税等の費用もかかります。

用途(使いみち)

 

リバースモーゲージでは、融資金の利用用途(使いみち)を限定している金融機関があります。

「原則自由」としている金融機関でも、事業資金や投資資金としての利用は対象外になっているケースが多数です。 リバースモーゲージ型住宅ローンは、その名のとおり、住宅関連の用途に限定されます。

たとえば住宅の建築や購入資金、リフォーム資金、サービス付き高齢者むけ住宅(サ高住)の入居一時金等が該当します。

リバースモーゲージとは?

ここまでリバースモーゲージの利用条件をご紹介してきました。ここからは「リバースモーゲージと住宅ローンの違い」や「リバースモーゲージのメリットとデメリット」についてご説明します。

リバースモーゲージと住宅ローンの違い

リバースモーゲージも住宅ローンも、住宅を担保にして資金を調達します。では、両者は何が違うのでしょうか。最も違う点は、その借り方と返済方法でしょう。

・住宅ローン:最初に一括で借入をおこない、その元本と利息を毎月少しずつ返済
・リバースモーゲージ:融資限度枠内で少しずつ借入をおこない、最後に一括返済

ご存知のとおり、住宅ローンは毎月返済することで少しずつ元本が減っていきます。一方リバースモーゲージは少しずつ借入を行うので、元本が増えていきます。

住宅ローンは、現金によって返済を行います。一方リバースモーゲージは、現金だけでなく担保不動産による代物弁済ができます。この代物弁済の仕組みがあるので、給与所得がないシニアでも利用できるのです。

リバースモーゲージのデメリット(3大リスク)

つづいて、リバースモーゲージの代表的なリスクを3つご紹介します。利用されるときは、以下のリスクについてよくご検討ください。

・金利上昇リスク
・担保評価下落リスク
・長生きリスク

リバースモーゲージは変動金利制を採用している商品が多数で、契約期間中に金利が上昇してしまうリスクがあります。金利が上昇すると月々支払う利息が増え、当初の想定より融資上限額が下がってしまう場合があります。

リバースモーゲージの融資上限額は、自宅の担保評価額に応じて決まります。担保評価額は基本的に毎年見直され、想定外に自宅の不動産価値が下がると、それに応じて融資限度額も下がってしまいます。

想定より長生きすると、ご存命中にリバースモーゲージの融資限度額を使い切ってしまうことも考えられます。そうなると融資が途絶え、支払い利息だけが増え続けます。

リバースモーゲージのメリット

つづいて、リバースモーゲージの長所をご紹介しましょう。代表的な長所は、以下の2つです。

・月々の返済額を低く抑えられる
・高齢者が住み続けながら利用できる

リバースモーゲージは、月々の返済額を低く抑えることができます。月々の返済は利息分のみ、あるいは利息の支払いも要らない(利息分も、最後に一括で返済する)商品もあります。

高齢者が住み続けながら利用できるのも、長所と言えるでしょう。例えば、ご自宅に大規模修繕が必要になったとき、年金以外の収入がない高齢者は一般的なローンが借りられません。そんなときに便利なのがリバースモーゲージで、自宅に住み続けながら修繕資金の調達ができます。

リバースモーゲージのメリットとデメリットについては以下の記事でもご紹介しています。もっと詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。

リバースモーゲージのメリットとデメリット(3大リスク)

【まとめ】リバースモーゲージの利用条件

リバースモーゲージはシニアむけのローン商品で、利用者に「55歳以上」や「60歳以上」といったやや高めの年齢制限を設けています。給与所得は必要なく、無職でも問題ありません。ただし、年金など長期的に安定した収入がある方に限っている商品が多数です。

現在、リバースモーゲージの対象地域は首都圏や関西圏、地方の主要都市に限られています。さらに、対象地域にあっても「マンションは対象外」としている金融機関もあり、利用できる方は一部でしょう。

融資限度額は担保不動産の評価額等を使って算出されます。ですが、今のところ建物に関してはほとんど評価されず、ほぼ土地の評価のみで決まります。今後、建物が欧米なみに評価されるようになれば、もう少し使い勝手がよいローン商品になるかもしれません。

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