先日、酒場のカウンターで偶然隣り合わせになり、何かとおせっかい・・?いや、失礼しました・・・何かとお気遣い頂きました、私よりも10歳ほど先輩でしょうか・・?ある初対面のジェントルマンの深イイ話です。
ジェントルマン曰く、「初心忘れるべからず」という言葉は、室町時代初期(1363年~1443年)の猿楽師、世阿弥(ぜあみ)が編み出した言葉だそうです。また、驚くべきことにこの世阿弥という方、世界の演劇史を代表するシェイクスピアが活躍する200年も前に多くの作品と、シェイクスピアすらも書かなかった演劇論まで書いていたそうです。
ちょっと、何言っているのか解らないんですけど???
しかし、興味が湧きましたので後日、世阿弥が書いたという能楽論「風姿花伝」の電子版書籍を購入しました。「初心忘れるべからず」については、世阿弥自身が五十代半ばに書かれた「花鏡」という伝書に書かれているものらしいですが、この本にも書かれていました。
世阿弥曰く、人生の中にはいくつもの初心があり、若い時の初心、人生の時々の初心、老後の初心、それらを忘れてはならないと言っています。つまり、「初心」とは、今まで体験したことのない新しい事態に直面した時の対処方法であり、また、「初心忘れるべからず」とは、人生の試練の時に、どうやってその試練を乗り越えたかという経験を忘れるなということで、決して最初の志を忘れるなという意味では無いようです。
考えてみたら、今後起こるであろう新しい初心に遭遇した時、若い時の気持ちに戻っても身体は確実に衰えています。毎年確実に増える年齢は、色々な面で壁になるでしょう。しかし、「初心忘れるべからず」という言葉を初めて書いたのが、世阿弥の五十代半ばだとすると、現在の私自身と同じくらいではないですか!
世阿弥という人物が何を思い、そして何を伝えたかったのか?探求する楽しみができました。これはもう酒場の酔っぱらい・・いや、失礼しました・・ジェントルマンに感謝ですね!(笑)
代表取締役 松戸 明