本稿では、グリーン住宅ポイント制度の要点をご説明します。特にリフォーム工事で利用するケースについて解説しますので、リフォームをご検討中の方は最後までご覧ください。
感染症拡大を防止するために、お住まいで過ごす時間が長くなってきました。その影響で「もっと過ごしやすくするためにリフォームしたい」とお考えの方が増えています。このグリーン住宅ポイント制度では、一定の要件を満たしたリフォーム工事はポイントがもらえます。
この制度は、2021年10月31日で終了しますので、リフォームをご計画中の方はポイントがもらえるうちに実施されてはいかがでしょうか?
グリーン住宅ポイント制度とは?
先ずは、グリーン住宅ポイント制度とはいったいどんな制度なのか、概要からご紹介していきましょう。利用できる人の条件や、スケジュールについてもご紹介します。
グリーン住宅ポイント制度の概要
グリーン住宅ポイント制度は「一定の省エネ性能を有する住宅」の取得や「エコ・長寿命化リフォーム」を実施するとポイントがもらえる制度です。発行されるポイント数は一定ではなく、諸条件によって変わります (5万~100万ポイント)。
発行されたポイントは、これまでの住宅ポイント制度と同様に「1ポイント=1円」換算で商品と交換できます。さらに、今回のポイント制度からは、追加工事の費用に充当できるようになりました。
事業予算は1,094億円で、申請締切前であっても予算に達した時点で受け付け終了となる見込みです。利用を検討されている方は、お早めに計画を進めてください。
他の補助金との併用
現在、住宅を取得される方やリフォームをされる方は、複数の補助金制度が利用可能です。しかし、本制度は、補助対象が重複する他の制度(国が実施するもの)と併用できません。
ただし、リフォーム工事については、本制度で対象とするリフォームと他の制度で対象とするリフォームの「リフォーム工事請負契約」が別の場合は、併用できるケースがあります。詳しくは、リフォーム会社にお尋ねください。
地方自治体の補助制度については、国費が充当されているものを除き併用可能です。住まい給付金や住宅ローン減税も併用できます。
利用できる人と申請できる人
グリーン住宅ポイント制度の対象となる工事は、2020年12月15日以降に工事請負契約した工事です。前制度(次世代住宅ポイント)は2020年8月末で終了していますので、3か月ほど空白期間がありますが、残念ながらこの間の契約は適用されません。
対象となる工事については、原則以下の方が申請をおこないますが、リフォーム工事では施工業者が代理申請することも可能です。
・対象となる住宅の購入者
・対象となる住宅の建築工事の発注者
・対象となるリフォーム工事の発注者
なお、ポイントを追加工事に利用する場合は、追加工事費を受け取る施工業者の代理申請が必須になります。
申請区分と発行ポイント数
本制度に申請できる住宅の区分は、全部で4つあります。発行ポイント数とあわせてご紹介しましょう。
申請可能な住宅区分 | 条件 | 発行ポイント上限 |
新築住宅の建築・購入 | ・一定の省エネ性能を有する住宅 | 40万ポイント/戸 |
・省エネ基準に適合する住宅 | 30万ポイント/戸 | |
賃貸住宅の建築 | ・高い省エネ性能を有する | 10万ポイント/戸×総戸数 |
既存住宅(中古住宅)の購入 | ・空き家バンク登録住宅 | 30万ポイント/戸 |
リフォーム工事 | ・断熱改修またはエコ住宅設備 | 上限30万ポイント/戸 |
上述の表のとおり、特例の要件を満たす新築住宅の取得は、通常より発行ポイントが加算されます。「特例」の内容をご紹介しましょう。
・東京圏から移住するための住宅
・多子世帯が取得する住宅
・三世代同居仕様である住宅
・災害リスクが高い区域から移住するための住宅
同じく、リフォームも特例の要件を満たすと取得可能なポイントの上限がアップします。こちらは、表でご紹介します。
世帯の属性 | 既存住宅購入の有無 | 1戸あたりの上限 |
若者・子育て世帯 | あり | 600,000ポイント |
なし | 450,000ポイント | |
一般世帯(その他) | あり(安心R住宅に限る) | 450,000ポイント |
なし | 300,000ポイント |
出典:グリーン住宅ポイント
なお「若者世帯」とは、2020年12月15日時点で40歳未満の世帯を指します。「子育て世帯」とは、2020年12月15日時点で18歳未満の子を有する世帯、またはポイント発行申請時点で18歳未満の子を有する世帯のことです。
因みに、既存住宅(中古住宅)を買って、すぐにリフォームしてから住み始める場合は、どうなるのでしょうか?既存住宅の購入とリフォーム、両方の区分で申請できるのでしょうか?
この場合は、残念ながら片方しか申請できません。既存住宅の購入またはリフォームのいずれかのみ申請可能です。
スケジュール
グリーン住宅ポイント制度のスケジュールを確認しておきましょう。本制度の申請の開始時期と締切時期は以下のとおりです。
申請開始:2021年3月29日
申請締切:2021年10月31日(郵送の場合は必着)
なお、商品交換を利用する場合のポイント有効期限は「2022年1月15日」です。期限を過ぎるとポイントは失効となりますので、ご注意ください。
グリーン住宅ポイントの利用方法
つづいて、グリーン住宅ポイントの利用方法について、詳しくご説明します。
このポイントは「1ポイント=1円相当」で、現下の政策テーマに関連した商品への交換や、一定の要件に適合する追加工事代金の支払いに利用できます。それぞれ、もう少し詳しく解説します。
商品交換
グリーン住宅ポイントは、現下の政策テーマに関連する以下の商品と交換できます。
・「新たな日常」に資する商品
・省エネ・環境配慮に優れた商品
・防災関連商品
・健康関連商品
・家事負担軽減に資する商品
・子育て関連商品
・地域振興に資する商品
グリーン住宅ポイント制度では「新たな日常」という言葉がよく出てきます。これは、いったいどんな「日常」なのでしょうか?
実際にポイントと交換可能な商品を見てみると、感染拡大防止や断続的なステイホームに役立ちそうな商品が多く見られました。つまり、コロナショック以降の日常を想定していると思われます。
交換可能な商品は公式サイトで閲覧できます。気になる方は、以下からご覧ください。
追加工事交換
これまでの住宅ポイントは、商品交換に利用できるだけでした。今回のグリーン住宅ポイントは、追加工事の代金に充当することも可能です。
追加工事は、商品交換と同様に「新たな日常」の役に立つものと、防災に役立つものが対象となります。いくつか具体例をあげてみましょう。まずは「新たな日常」の役に立つ工事からご紹介します。
「新たな日常」に資する追加工事 | 具体例 |
ワークスペース設置工事 | ・収納を利用して、テレワークスペースをつくる |
音環境向上工事 | ・内窓を設置して、外部からの騒音カット |
空気環境向上工事 | ・玄関ドアに網戸を設置して、採風できるように |
菌・ウイルス拡散防止工事 | ・水栓をタッチレスのものに交換 |
家事負担軽減に資する工事 | ・トイレを、タンクがない掃除がしやすいものに交換 |
つづいて、防災の役に立つ追加工事です。
防災の役に立つ追加工事 | 具体例 |
停電・断水対策 | ・太陽光発電システムの設置 |
水害・台風対策 | ・屋根瓦の飛散防止 |
地震対策 | ・感電ブレーカーの設置 |
尚、ポイント付与の対象となる工事を複数の事業者に発注した場合(いわゆる分離発注)は、追加工事交換の利用はできません。必ず1社にすべてのリフォーム工事をまとめて依頼してください。
尚且つ、追加工事もポイント付与の対象となる工事と同一の施工業者に依頼する必要があります。
リフォーム戸別申請の概要
ここまで、制度全体の概要をご紹介しました。ここからは個人宅のリフォームに絞って、要点や対象工事、もらえるポイント数をご紹介します。本稿でお伝えしたいことは、ここからが本番です。リフォーム工事でグリーン住宅ポイントをもらいたい方は、続けてご覧ください。
リフォーム戸別申請の要点
グリーン住宅ポイント制度を個人宅のリフォーム工事で利用する場合の要点は、以下のとおりです。
・工事の内容に応じたポイント数が発行される
・最低5万ポイント以上の工事が対象
・賃貸住宅のリフォームも申請可能
・1,000万円(税込)以上は工事完了前の申請も可能
・上限内で同一住宅でも複数回の申請が可能
リフォームでは、他の申請区分と違い、工事内容によって発行ポイント数が変わります。1申請あたりの発行ポイント数(後述する既存住宅購入加算を除く)の合計が5万ポイント未満の場合は、申請できません。
対象工事と発行ポイント数
グリーン住宅ポイント制度の対象となるリフォーム工事は、2020年12月15日~2021年10月31日の間に請負契約が締結された工事です。さらに、以下の工事のうち、いずれかひとつ以上の実施が必須です。(かっこ内は発行ポイント数)
・エコ住宅設備の設置(4,000~24,000ポイント)
・開口部の断熱改修(2,000~28,000ポイント)
・外壁・屋根・天井・床の断熱改修(16,000~100,000ポイント)
上述の工事に合わせて実施した「バリアフリー改修・耐震改修・リフォーム瑕疵保険等への加入」も、ポイント発行の対象になります。さらに、既存住宅(中古住宅)を購入してリフォームされる場合は、必須工事も任意工事もポイントが2倍になります。
それぞれ、補足説明しておきましょう。
バリアフリー改修
バリアフリー改修については、以下の工事が対象になります。(かっこ内は発行ポイント数)
・手すりの設置(5,000ポイント)
・段差解消(6,000ポイント)
・廊下幅等の拡張(28,000ポイント)
・ホームエレベーターの新設(150,000ポイント)
・衝撃緩和畳の設置(17,000ポイント)
尚、ホームエレベーターと衝撃緩和畳については対象製品が決まっています。以下から確認できますので、ご興味がある方は一度見ておかれるとよいでしょう。
参考:対象製品の検索(ホームエレベーター)
参考:対象製品の検索(衝撃緩和畳)
耐震改修
耐震改修は、旧耐震基準で建築された住宅を現行の耐震基準に適合させる工事が対象です。建築士等が発行する「耐震改修証明書」によって確認がおこなわれ、合格した場合は「150,000ポイント/戸」発行されます。
なお、耐震基準についてはこちらの記事でも解説しています。もっと詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
リフォーム瑕疵(かし)保険
リフォーム瑕疵保険に加入した場合も「7,000ポイント/契約」発行されます。この保険に加入しておくと、保険期間中、万が一対象箇所に不具合が生じたら、補修費用の一部または全部を保険でカバーできます。
この保険を利用する場合は、補償を担う保険法人に事業者登録されているリフォーム会社に施工してもらう必要があります。尚、弊社では550万円(税込)以上のリフォーム工事に無料で付与しておりますので、リフォーム工事をご依頼の際はぜひご利用ください。
リフォーム瑕疵保険の内容については、以下の記事で詳しく解説しています。ご興味ある方は、合わせてご覧ください。
》JIOリフォームかし保険(リフォーム工事瑕疵担保責任保険)とは?
既存住宅購入加算
既存住宅を購入してリフォームをおこなう場合は、各リフォームのポイントが2倍カウントされます。これを「既存住宅購入加算」と言い、以下の要件を満たした既存住宅に適用されます。
・登記上、新築された日付が2019年12月14日以前の住宅であること
・売買契約額が100万円(税込)以上であること
・2020年12月15日以降に売買契約を締結すること
・売買契約締結から3か月以内にリフォーム工事の請負契約を締結すること
・自ら居住する住宅の購入であること
上述の条件は、それほど厳しいものではありません。既存住宅の購入とリフォームの手配を同時に進めていけば、自然とクリアできるでしょう。
とは言え「言うは易くおこなうは難し」です。実際のところ「既存住宅の購入とリフォームの手配」を同時に進めるのは大変な作業です。
弊社は神奈川県川崎市で、中古物件探しからリフォームまですべてお任せいただけるワンストップ型のサービスをおこなっています。川崎市で「中古物件購入×リフォーム」をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。詳細は、以下のページでご覧いただけます。
必須となるリフォーム工事の概要
先述のとおり、リフォーム工事でグリーン住宅ポイントをもらうには以下の工事のうちいずれかを実施する必要があります。
・エコ住宅設備の設置
・開口部の断熱改修
・外壁・屋根・天井・床の断熱改修
それぞれ、どのような工事を実施すれば良いのか、もう少し詳しくご紹介しておきましょう。
エコ住宅設備の設置
「エコ住宅設備の設置」工事は、本制度に登録された型番の製品を使用した工事のみが対象です。本制度で採用されている「エコ住宅設備」は5品目ありますので、以下にご紹介しておきましょう。(かっこ内は発行ポイント数)
・太陽熱利用システム(24,000ポイント)
・高断熱浴槽(24,000ポイント)
・高効率給湯機(24,000ポイント)
・節水型トイレ(16,000ポイント×設置台数)
・節湯水栓(4,000ポイント×設置台数)
各住宅設備の対象となる製品は、以下のサイトで確認できます。ご興味がある方は、ご覧ください。
本工事でポイントを発行してもらうには、性能証明書や対象製証明書、納品書、工事写真の提出が必要です。書類の紛失や写真の撮り忘れがないよう、ご注意ください。
開口部の断熱改修
「開口部の断熱改修」は、屋外に面した窓やドアの断熱性向上工事が対象になります。また、エコ住宅設備と同様に本制度に登録された型番の製品を使用する必要があります。
尚、日本は縦に長い国で、たとえば北海道と沖縄ではかなり気候が違います。ですから地域によって必要な断熱性能が異なり、対象となる製品も違う点にご注意ください。地域密着で、断熱工事の実績が豊富なリフォーム会社に依頼されると安心です。
「開口部の断熱改修」では、以下の4つの工事が対象となります (発行ポイント数は窓やドアの面積で変わる)。
対象となる工事 | 発行ポイント数 | 具体例 |
ガラス交換 | 2,000~7,000ポイント | ・既存窓を利用して、複層ガラス等に交換するもの |
内窓設置 | 13,000~20,000ポイント | ・既存窓の内側に、新たに窓を新設するもの |
外窓交換 | 13,000~20,000ポイント | ・既存窓を取り除き、新たな窓に交換するもの |
ドア交換 | 24,000~28,000ポイント | ・既存のドアを取り除き新たなドアに交換するもの |
本工事でポイントを発行してもらうには、性能証明書や工事写真の提出が必要です。書類の紛失や写真の撮り忘れがないよう、ご注意ください。
外壁・屋根・天井・床の断熱改修
「外壁・屋根・天井・床の断熱工事」は、本制度に登録された型番の製品を使用した工事で、部位ごとに一定の使用量以上の断熱材を使用する断熱改修が対象です。
発行ポイント数は部位ごとに違います。表でご紹介しましょう。
断熱部位 | 発行ポイント数 |
外壁 | 100,000ポイント |
屋根・天井 | 32,000ポイント |
床 | 60,000ポイント |
本工事でポイントを発行してもらうには、断熱材の納品書や工事写真の提出が必要です。書類の紛失や写真の撮り忘れがないよう、ご注意ください。
グリーン住宅ポイント利用の流れ(リフォーム戸別申請)
最後にグリーン住宅ポイントの利用の流れをご紹介して終わりたいと思います。本制度は、ポイントの利用方法(商品交換または追加工事交換)によって手順が変わります。順にご説明しましょう。
ポイントを商品に利用する場合(工事完了後申請)
ポイントを商品に利用する場合の手順は、以下の通りです。
1.申請者とリフォーム会社が工事請負契約
2.工事完了後、必要書類を揃える
3.ポイント制度事務局にポイント発行申請
4.事務局が申請者へポイント発行
5.申請者が事務局へ商品交換依頼
6.事務局が交換商品事業者へ商品提供依頼
7.商品提供事業者が申請者へ交換商品提供
商品と交換する場合は、特に難しいところはありません。忘れないようにご注意いただきたいのは、必要書類の確保と工事写真の撮影です。特に工事前の写真は一時期しか撮影できませんので、撮り忘れがないようにお気を付けください。
ポイントを追加工事に利用する場合(工事完了後申請)
ポイントを追加工事に利用する場合の手順は、以下のとおりです。
1.申請者とリフォーム会社が工事請負契約
2.申請者とリフォーム会社が追加工事請負契約
3.工事完了後、必要書類を揃える
4.施工業者が、ポイント制度事務局にポイント発行と追加工事への交換を代理申請
5.事務局が申請者へポイント発行+追加工事代金と交換
6.事務局が施工業者へ追加工事代金の支払い
追加工事は、主工事の契約に含んでもOKです。ただし、特約や見積等で追加工事部分の内容と金額が確認できるようにしておく必要があります。
ポイントを追加工事に利用する場合は、施工業者が代理申請します。申請の提出をもって、事務局から「申請者が申請代行とポイントの受取について、施工業者に委任を行った」とみなされます。
工事完了前に申請できるケース
工事代金が1,000万円(税込)以上のリフォームは、工事完了前に申請できます。ただし、工事が完了したら「完了報告」の提出が必要です。
尚、完了報告の提出をおこなわない場合、利用済みポイントの返金を求められます。完了報告後に確定したポイント数が利用済みのポイント数を下回った場合も、差額の返金を求められますのでご注意ください。
【まとめ】グリーン住宅エコポイント制度とは?
現在、一定の性能を満たす住宅の取得やリフォーム工事に対して、グリーン住宅エコポイントが発行されます。申請期間は2021年10月31日まで。締切前であっても予算がなくなりしだい終了しますので、利用をご検討中の方はお早めに計画を進めてください。
リフォーム工事に関しては、エコ住宅設備の設置や断熱改修、耐震改修、バリアフリー改修で本制度を利用できます。発行されたポイントは、商品と交換したり追加工事費用に充当したりできます。
制度が、やや複雑です。しっかり抜かりなくポイントをもらいたい方や他の補助金制度と併用したい方は、ちゃんと仕事してくれる、頼れるリフォーム会社を探してください。相談段階で不安を感じるようなら、その会社は避けたほうが無難です。
弊社では、神奈川県川崎市にてリフォームされる方を対象に、ビデオ通話やメールフォームを使ったご相談を受け付けております。グリーン住宅ポイント制度のことでご質問がある方は、お気軽にご利用ください。
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